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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-31身躱しの服
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イミンの瞳が、潤む。

「トルネコ。ホイミンを守るのに、その服は。あったほうが、いいのよね?」
「ええ。そうね。」
「ホイミン。買ってもらおう。ホイミンが、なにを気にしてるのか。よく、わからないけど。子供でも、そうじゃなくても。関係ない。ライアンさんの、大事な人なんだから。」
「う……うん!そうだね!ありがとう、ユウちゃん!ありがとう、トルネコおばちゃん!」

 涙が零れないよう、盛んに目をしばたたかせるホイミンに、トルネコが微笑みながら手巾を差し出す。

「さあ、さあ。戦士さまを探しに行くんだから。早く選んでしまいましょう。本当に、数は揃っているようだから。選び甲斐があるわ!」
「うむ。ユウちゃんもホイミンちゃんも可愛いからの、可愛らしさをより引き立てるものを、(しっか)り選ばねば!」

 トルネコとブライが意気込んで言うのに、ホイミンが当惑気味に答える。

「え?ぼ、ぼく。よく、わかんない」
「大丈夫ですわ!私達が、きちんとお見立てしますから!アリーナ様にも、良い物を選ばなければなりませんわね!」

 クリフトに話を振られ、アリーナが応じる。

「俺は、動き(やす)ければなんでも良い。これなんか良さそうだな」

 アリーナが選び出した一着に、困惑顔になるクリフト。

「まあ、それは……少し、質素過ぎはしないでしょうか」
「そうか?こんなものだろう」
「王子。見た目にも少しは気を使ってくだされと、常々(つねづね)申しておりますのに。これにしなされ」

 遠慮も無く苦言を呈し、別の一着を差し出したブライに、アリーナが顔を(しか)める。

「なんだそれは。やたら装飾が多くて、動きにくそうだな。それは無い」
「今お召しのものでさえ、散々に譲歩した結果じゃと言うのに。それよりも質素とは、どういうことです。ならばこれを」
「曲がりなりにも城で着ていたものと、始めから戦いに備えるものを一緒にするな。それも却下だ、これならどうだ」
「曲がっている自覚はお有りなのですな。()()に居ようと、ご身分にはお変わり無いのですぞ。先程のものと(ほとん)ど変わり無いではないですか、これならばどうですじゃ」

 言葉の応酬と駆け引きを始めたアリーナとブライを、間に挟まれた商人が、おろおろと見守る。
 その光景を横目に、クリフトはせっせとデザインを確認する。

「クリフトさん。放っておいて、よろしいんですの?」
「ああなっては、しばらくは収まりませんから。無理に止めようとするよりも、落とし所を用意しておきませんと。それにしても、本当にデザインが豊富ですね。ユウさんとホイミンさんに、これはどうでしょう」
「あら、いいわね。ふたりとも、どうかしら。」
「えっ?ど、どうかな?ユウちゃん」

 
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