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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-29漂流少女
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 順調に航海を続け、夜が明けて、キングレオのある大陸に到着する。

 上陸の作業をしていた少女は、海岸に打ち上げられていた、黄色っぽい何かに目を()める。

「あれって……人?女の子?」
「ユウちゃん、どうかした?……あらやだ。大変。クリフトさん!」

 少女の目線の先を見たトルネコが、緊迫した様子でクリフトを呼ぶ。

「なんでしょう。……あれは。トルネコさん、私は先に様子を見に参りますから」

 答えるクリフトは、瞬時に状況を理解しながらも、声を荒げることなく簡潔に告げる。

「ええ、布かなにか、みつくろって追いかけますから。ユウちゃん、魔物が出るかもしれないし、クリフトさんについて行ってくれる?」
「うん、わかった」
「アリーナさんとミネアさんは、このまま作業を続けていただいて。ブライさんとマーニャさんは、お湯を沸かしておいていただけますかしら?」



 海岸に打ち上げられていたのは、黄色味(きいろみ)の強い、腰まで届く長く波打つ金髪の、少女だった。

 駆けつけたクリフトが、目立った外傷(がいしょう)の無いこと、意識を失っているだけであることを確認し、念のため回復呪文を(ほどこ)した(のち)、トルネコが布で身体(からだ)(おお)い隠しつつ、抱えあげて船室に運び込む。


 海水の塩分と砂でべたつく身体を、熱い湯で絞った布で拭き、冷え切っているのを暖める。

「なにも着ていないから、驚いたけれど。それなら、乱暴をされたわけでは、ないのね。漂流しているうちに、服が流されたのかしらね?」
「それにしては、岩で(こす)ったような傷も無いことが、不思議ですね。水遊びをしている最中に、波にさらわれでもしたのでしょうか 」
「そうかもしれないわね。なんにしても、気がついたら、お話を聞いてみましょう。ご家族がいれば、心配されてるでしょうし。早く、帰してあげないと。」
「わたしと、同じくらいの年、かな?おうちの人は、きっと心配してるね」

 ベッドに横になっていた金髪の少女が、(うめ)き声を上げる。

「うう……ん」
「あら?気が付いたかしら。」
「お嬢さん。わかりますか?」
「起きたの?大丈夫?」

 金髪の少女が(あお)い目を見開き、飛び起きる。

「待って!ぼくも、行く!…………あれ?」

 きょろきょろと周りを見回す、金髪の少女。

「あれ?ここは?ぼく、どうしたんだろ?」
「まあまあ。気が付いたのね、よかったわ。」
「あなたは、気を失って、海岸に打ち上げられていたのですよ。お名前は?状況は、おわかりになりますか?」

 声をかけるトルネコとクリフトに気付き、金髪の少女はびくりと身を震わせる。

「あっ!ご、ごめんなさい!わざとじゃないの!」

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