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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-29漂流少女
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「あらあら。どうしたの?」
「混乱なさってるのですね。大丈夫ですから、落ち着いて」
「気が付いたら、ここにいて!わざと、入ってきたんじゃ、ないの!」
「あたしが、運んできたんだから。あなたは、なにも悪くないのよ。」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」

 取り乱し、トルネコとクリフトが宥める言葉も耳に入らない様子の金髪の少女の(かたわ)らに、少女が腰を下ろし、声をかける。

「大丈夫。トルネコも、クリフトも、わたしも。だれも、怒ってない。」

 自分と同じくらいの小柄(こがら)な少女に、低い位置から静かに語りかけられ、金髪の少女が動きを()める。

 更に、少女が言葉を重ねる。

「大丈夫。あなたは、大丈夫?どこも、痛くない?」

 金髪の少女は、少女を見つめ返し、他のふたりの様子を窺い、どこにも責める色が無いことにようやく気付き、おずおずと答える。

「……うん。大丈夫。……怒って、ないの?」
「うん。どうして、怒ると思うの?」
「だって、ぼくは……あれ?」

 視線を落とした金髪の少女は、そのまま手元をまじまじと見つめる。

「あれ?」

 ぺたぺたと、自分の顔を触る。

「あれ?あれれ?」

 身体をあちこち触って確認した(のち)、ベッドから降り立とうとするのを、トルネコが止める。

「あらあら、だめよ。女の子が、そんな格好で動き回ろうとしては。なにか、着てからでないと。」
「え?女の子?…………ぼくの、こと?」
「もちろん、そうよ。ユウちゃん、お洋服、貸してあげてくれる?」
「うん。ここにある。まだ、使ってないのだから。あげても、いいよね?」
「そうね。ユウちゃんのは、また買い足せば、いいものね。」
「女の子…………え?えええ!?」
「あらあら。どうしたの?」
「なにか、変わった夢でも、ご覧になったのでしょうか」

 一度は落ち着いたはずの金髪の少女が、また動揺して声が大きくなるのを、気遣う大人の女性たち。

 船室の外から、声がかかる。

「入りますぞ。済まぬが、手が塞がっておっての。開けてくれぬかの」
「ブライさん。今、開けますわ。」

 トルネコが扉を開け、スープとパン、切り分けた果物の載ったお盆を持ったブライが、船室に入ってくる。

「ミネア殿が、用意してくれての。食べられるようなら、まずは何か、口に入れねばの」
「そうですわね。ずいぶん混乱しているようですし、なにか食べれば、落ち着くかもしれませんわね。服を着たら、お話の前に、まずはお食べなさいな。」


 食べ物を置いてブライは外の仲間たちの元に戻り、ぎこちない手つきで服を着ようとする金髪の少女に他の女性たちが手を貸して、なんとか着終えた後、これまたぎこちない手つきでスプーン
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