混成魔法使い
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間とてつもない量の魔力の奔流が起き、鬼神の喪われた腕が再生していった。
「ほら、お嬢様の魔力があればこんなもん」
簡単には言うがそれを操作するのは天ヶ崎、自身である。
そこらの二流三流の術師ではまず、無理だろう。そういう点では、この天ヶ崎千草と言う女は確かに一流なのであった。
「で、や。どうするんや? 頼みの西洋魔法も役立たず、接近戦なんて論外。どないするんや? ────それだけやないやろ神童。だとしたらウチのことナメすぎや。出し惜しみなんてしないで、さっさ本気出さないと。」
言葉をきって。にいい、と顔に笑みを浮かべて、
「────踏み潰すで、小物ぉ……!」
口から出たのは。
圧倒的な誇り。
絶対的な自身への信頼。
疑うことの無い実力。
それら全てが奇跡的に噛み合って生まれた、完全な強者の言葉であった。
「ふ、ははは──はははははははははははは!!いぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃぁぁぁあ!!!」
嘲笑。
高らかに響く笑い声が京都の夜を支配した。
身を捩り、まるでこらえる様子もなく吐き出された笑い声は目の前の女へのありったけの侮蔑と嘲笑の塊であった。
しかし、それを受けても天ヶ崎の顔に浮かぶのは笑み。
「ひ、ひ……小物…………だってー。こ、この俺が、ははっ!」
所々笑い声が漏れながらも言い切り、辺りに魔力が立ち込める。
「────這いつくばる用意はできてるんだなァ!!」
戦いが始まった。
◇◇◇◇◇
これから語るのはとある三人の物語だ。
物語の都合上特定の一人に焦点をあてることが多いが、どうか三人の物語だと言うことを忘れないで貰いたい。
何処までも自己で完結せしめてみせた男。
取り返しのつかない間違いを犯しながらも、それを償おうとする男。
そして、
決して自身を曲げなかった強く、優しい少女。
の三人だ、これを忘れないでほしい。
では語ろうじゃあないか──
何処までも運命に抗って見せた少年少女の話を。
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