混成魔法使い
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幼少から世話になった姉とも言える人物であった。
◇◇◇◇◇
「──ロウ・アルベルタント・ロウト・スペルピア」
始動キー。腰を落とし触媒である指環を嵌めた右手を引き、照準を合わせるように左手を白き鬼神の方に翳す。
「火の精霊1001柱集い来りて……」
訳あって従者がいない現状。一人でどうにかする他無い。
掛け値無しの全力。生半可な攻撃は目の前の鬼神には通じない。
故の1001矢、いくら初級魔法とは言えこの規模ならば最早大魔法だ。
しかし目の前の鬼神は大魔法の一つや二つで倒れてくれる様な甘い存在ではない。
その点では両者の見解は一致している。
その余裕からか目の前の鬼神を操る女──天ヶ崎千草──は動きすらしない。
「──ならその余裕ごと消え去るがいい!!」
その言葉に返ってきたのは、笑み。
絶対的な勝利の確信。
しかしそれはこちらも同じ、余裕を見せてくれると言うのならばそのまま何も出来ずに終わって貰うだけ。
「"魔法の射手 連弾・火の1001矢"」
文字通り1001もの数の火の矢が鬼神に炸裂する。赤い閃光が様々な線を描いて突き進む光景は一種の壮観ですらあった。
それを尻目に地を強く蹴り、上空へと飛ぶ。風を切る感覚を肌に感じながら上昇する。
炸裂した魔法の射手の煙が鬼神、そして天ヶ崎千草を覆い隠しているのを見据え次の呪文を畳み掛ける。
「ロウ・アルベルタント・ロウト・スピリトゥス」
鬼神が腕を一振り。それだけで煙幕は晴れ、辺りが暴風に晒される。
予想通り傷一つ無い鬼神の肩に居座る天ヶ崎は嘲笑と共にこちらを見やる。
「無駄や。やるだけ無駄と言っとるんや」
無視。
脳内で次に繰り出す大魔法の術式を紡ぐ。
「契約に従い、我に従え、炎の覇王。」
開いた右手の平に炎が渦巻く。
「来たれ、浄化の炎、燃え盛る大剣。」
炎は勢いを増し、形は球を成す。
「ほとばしれよ、ソドムを焼きし火と硫黄。罪ありし者を死の塵に。」
ここに来て漸く天ヶ崎の顔が驚愕に歪む。おおよそ呪文の長さから何
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