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アマガミフェイト・ZERO
六日目 十一月二十六日(土)
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ないぞっ)
「えっと、ランサーちゃんだっけ。うーん、ちょっと言い難いかも。あ、そうだ、ランちゃんがいいかも。うん、我ながらグットアイディーア」
 凛々しい騎士は、何かをいぶかしむようにはるかを見つめている。
「失礼ですがマスター、魔術の経験は?」
「え? 何の経験?」
 はるかの返答を聞いて男の顔が曇った。そして顔を隠すかのように俯いた。いや、それだけでは無い。どこからかフード付きの長衣を取り出し、身体と顔をすっぽりと隠した。
「むむむ? どうかしたの?」
 男騎士は何も答えず、無言で消え去った。

「やれやれ、まさかうちの生徒からマスターが出るとわね」
「予想外中の予想外」
 ポンプ小屋の扉が突然開き、聞き覚えのある声が室内に響き渡った。
「夕月先輩に飛羽先輩じゃないですかっ」
「あれ、ルリルリにマナマナ?」
 現れたのは、茶道部部長の夕月琉璃子に副部長の飛羽愛歌だった。夕月は、さっぱりとした焦げ茶色の短髪。フレームが薄い丸みのある眼鏡をかけているが、目つきが鋭く、喧嘩っ早そうな雰囲気が漂う。きりっとした立ち姿と血色の良い肌の色も、彼女の凛々しさを際立たせていた。
 一方の飛羽は正反対の容貌だ。豊かな黒髪で、むしろ顔が少し隠れるくらいが好みなのか、髪の毛の間から神秘的な瞳を覗かせている。すらりとした細身の長身で、肌は青白い。雨の日に出会ったら、儚くも美しい女幽霊にも見えそうな少女だ
 そんな二人が真剣な顔をしながら、ポンプ小屋に入って来た。
「見たところ、マスターは森島はるか、あんた一人みたいだね」
「サーヴァントも確認」
「じゃあ詳しい話は後で追って連絡するよ。今は早急に対処しなきゃならない案件があるからねぇ」
「部外者の存在」
 夕月先輩と飛羽先輩がこちらを見た。
「めんどくさいんだけどねぇ。こうなっちゃったら、仕方ないよねぇ」
「拉致監禁」
 不穏な事を言っている気がする。純一の胸の内に、不安な影が這い寄ってきた。
「えっと、どういう意味、ですかね」
 二人の先輩が怖い顔付きのまま、つかつかと近寄って来た。
「言葉通りさ。あんたは見ちゃいけないものを見た。なーに、心配すんなって。ちょっとばかし眠ったら、数日間くらいの記憶がなくなってるだけさ」
「命の保証はする」
「全然心配ですよっ」
 純一の本能が、これはまずいと告げていた。二人の眼付きはいつになく真剣だった。
「ど、どうすれば、助かるんですか」
「助かるだぁ。命までは取らないんだから、文句言うなっ」
「人生に支障はない」
(いや、もの凄く不安だ。ど、どうすればいい)
「えっと、部外者じゃあなくなれば、助けてもらえるんですかね」
 二人の顔付きが変わった。少し思案した後、二人してにやっと笑った。
「へぇ、あんたがマスターに? 
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