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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十話 邂逅
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ーヒーを飲むふりをしてさりげなく周囲を窺う。ラウンジに人は多いがおかしな人間は視界には確認できなかった。気のせいか?
コーヒーカップをテーブルに置き、ポケットから手鏡を取り出す。フェザーンに来てからは必需品だ。髪を整えるような仕草をしつつ背後を窺う、……やはりおかしな人間はいない。
「気のせいか……」
フェザーン返還が五年から十年以内に行われると答えた人間が三十四パーセント、そして戦争は回避できないと答えた人間が三十七パーセント……。五年から十年なら同盟軍の再建は途中だろう。その状態でフェザーンを返還できるだろうか?
難しいだろう、返還すれば帝国軍がフェザーン回廊から大挙来襲しかねない。再建途中の軍では厳しい戦いになる。同盟としてはフェザーンを保持しなんとか均衡を保ちたいと考えるに違いない。つまりフェザーンの返還は難しいと言う事になる。
一方の帝国だが五年から十年で改革が一段落しているとすればかなり余裕が有るはずだ。弱小の同盟を叩く良い機会だろう。ヴァレンシュタインがそれを見逃すとは思えない。フェザーン人が考えたのはその辺りだろう。
確かに私もそう思う。しかし可能性はもう一つあるようだ。改革が一段落していない場合だ。それにもかかわらず帝国がフェザーンの返還を望んだとすれば帝国は国内に深刻なトラブルを抱えている可能性が有る。国内の不満を逸らすために外に対して強く出る、良くある事だ。この場合中途半端に引く事は出来ない、行き着くところは戦争だろう……。
最後にフェザーンの返還の時期が五年以内と回答した人間が十七パーセント、戦争が起きるか分からないと答えた人間が十五パーセント。五年以内なら改革は始まったばかりだろう。回答者は帝国は改革の実を上げる事よりもフェザーン奪回を優先すると見ている。つまりかなり早い時点で帝国はフェザーン奪回にかかると見ているのだ。
戦争になるか分からないと回答したのはそれが原因だろう。同盟軍は殆ど再建出来ていない状況だ、その状況で帝国と戦争が出来るだろうか? 到底できない、となれば返還するしかない、しかしフェザーンを返還すれば帝国軍が同盟領に攻め込んでくる可能性が有る……。
帝国がフェザーンの返還だけで満足するか、同盟領への侵攻を意図するか、また同盟はそれをどのように読み取るか……。それによって戦争か交渉かが決まる。それが分からないという回答ではないのか……。
「さて、どうなるかな……」
帝国は今社会改革を行っている。そして帝国、同盟間は平穏な状態に有り帝国は戦争よりも交渉を優先しているように見える。実際先日放送された結婚式を見ても帝国は平和攻勢を同盟に対してかけているようだ。
それを思えば帝国がフェザーン返還に動くのは十年後ではないかと考えたくなるのは確かだ。しかしあの男がそ
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