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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十話 邂逅
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希望も有るのではないだろうか。フェザーンを戦場にしたくないと言う希望が……。
戦争になるとすれば同盟ではなく帝国から仕掛ける形で始まるだろう。現在の帝国と同盟の軍事力を比較すれば同盟から仕掛けることは先ず無い。となれば帝国軍が難攻不落と言われるイゼルローン要塞を攻略するよりフェザーン攻略に向かうのは当然だ、フェザーン奪回の名分からもそうなる。フェザーン人にとってはフェザーンが戦場になるのは考えたくない事だろう。自らは血を流さず、痛みも感じずただ血を吸い上げる……。
「それがフェザーンだからな」
思わず口に出た。苦笑を浮かべコーヒーを一口飲む。うーむ、今一つだな……。このホテルはフェザーンでも最も格式の高いホテルのはずだがこのコーヒーは今一つだ。名門の名に奢ったか……。そう思う自分にまた苦笑した。自分はかなりフェザーン人らしくなってきたようだ。名より実を重んじる。
フェザーンの返還が五年以内に行われると回答した人間が十七パーセント、五年から十年以内と答えたのが三十四パーセント、十年以上と回答したのが四十九パーセントか……。
これはまた面白い数字だ。先の戦争の可能性についての回答と合わせて考えるとフェザーン人が何を考えているのかが分かる。十年以上と回答した人間が四十九パーセント、戦争は回避できると答えた人間が四十八パーセント、ほぼ同じ数字だ。そして五年から十年以内に返還と答えた人間が三十四パーセント、戦争は回避できないと答えた人間が三十七パーセント、最後に五年以内に返還と考えた人間が十七パーセント、分からないと答えた人間が十五パーセント……。微妙に数字が似通っている。もし、この回答者が重なっているとしたらどうだろう。
フェザーン返還に十年以上かかるという事は帝国の国内改革は一段落するまで十年以上かかると判断しているのだろう。十年以上の時間が有れば自由惑星同盟の軍事力は再建されているはずだ。つまり十年後にはフェザーンを無理に保持しなくても同盟は帝国との対峙が可能だと見ているようだ。
さらに帝国の改革が進んでいるならば帝国と同盟の共存は可能だと見ているのだろう。フェザーンを無理に保持する事で帝国との緊張を招く必要は無い、同盟は帝国にフェザーンを返還し協調関係を維持する。帝国も交渉でフェザーンを取り戻せるなら無理に戦争に持ちこむ事は無いだろう。そしてフェザーンは中立を取り戻し繁栄し続けるというわけだ。薔薇色の未来だな、思わず笑いが漏れた。
極めて楽観的な未来ではある。フェザーン人の約半数がそう考えているのだとすればフェザーン人というのは楽観的と見るべきなのか、それとも半数しかそう考えていないとすれば悲観的と見るべきなのか……。なかなか悩ましい数字ではある。
誰かに見られている? 首筋の辺りにチリチリと嫌な感じがした。コ
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