プロローグ
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の次にされかねない。そこで、魔術師とは別組織である聖堂教会が、監督役として、贔屓無く戦いを見守り、事実を社会から隠蔽する役目を負うことになったのだ。
そのような説明を、言峰綺礼は目の前にいる二人の少女に行っていた。教会の待合室の椅子に座る制服姿の二人は、言峰からすればどう考えても少女であった。
(なぜこのような、年はもゆかぬ少女達に、この役目を託すのだ)
内心、疑念を抱きながらも、それをおくびにも出さずに綺礼は話を続けた。前回の聖杯戦争からはや五年。文章の残せぬ聖杯戦争についての情報は、自らの口で伝えねばならず、今となっては考えるより先に言葉が出て来る。
(それにしても、冬木以外の地が聖杯戦争の舞台となるとは……)
言峰は聖杯戦争の真実を知っている。だがそれを報告はしていなかった。何故か。言峰は前回の戦争の最後、聖杯の正体を垣間見た。その正体は、話に聞いていたものとはまったく異なるものであったが、言峰は、これは果たされなければならない、と強く感じたのだ。だが上層部に報告すれば、場合によっては聖杯の消去もありえる事実であった。その為、言峰は、聖杯の真実を自分の胸の内に秘めることにしたのだ。
(しかし、またしても聖杯戦争に参加することになるとはな……。やはり聖杯の解放は、神のご意思であり、私に課せられた使命ということなのか)
言峰の思考は、そもそも輝日東の地に来ることになった経緯について思いを巡らし始めた。
一週間前の十一月十九日、突然、言峰の所属する聖堂教会が、輝日東町にある教会に赴くよう指令が来た。教会にとって忙しいこの時期に、出張とは何事かと憤りを感じたが、口頭で伝えられた出張目的に、言峰は驚いた。
曰く、アインツベルン家から次の聖杯戦争は輝日東で行われる、と連絡が入ったとの事だった。アインツベルン家は、そもそも聖杯の現実化に必要な魔道装置を準備した一族であり、彼らの情報は聖杯戦争に関して言えば非常に信憑性が高かった。すぐさま聖堂教会も独自の調査を開始し、その情報の裏も取れた。だが急なことだった為、輝日東教会独自での対応は困難を極めた。そこで、前回の生き残りであり言峰に白羽の矢が立ったのである。
「なるほどねぇ。よぉく解りました」
「納得、納得」
眼前の二人の少女の声に、言峰は意識を目の前に戻した。
二人の少女は、どちらも同じ制服を身に付けている。お互いに名乗った時、制服について尋ねると、輝日東高校の生徒との事だった。先に喋った方が、眼鏡をかけたやや茶の混じったショートカット。ややゆっくり口調の、後にしゃべった方の少女は、色白で肩にかかるくらいの長髪だ。
(高校生が、聖杯戦争の監督役とはな。世も末か。)
「それで、監督役として一応確認させてもらいますが、あなたは今回もまた、聖杯によって参加者であ
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