決着
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ザザー。
「かぁ〜生き返るぅ〜」
浴槽に張ったお湯の中に入り、言葉が漏れる。
今なら世間のお父さま方の気持ちが分かる気がするわ。
「ははは、神田君の歳でそのセリフは速いと思うよ?」
そう言って、言葉を返しながら浴槽に入って来るのは士郎さん。
そう、俺と士郎さんは今一緒に風呂に入ってる。
ちと、二人で浴槽に入ると狭く感じるが……まぁ、足を曲げれば気にならない程度だ。
「そうですか?
まぁ、反射的に出てしまうものですし〜気にしないって事にしてください」
てか、俺の精神年齢は二十歳を超えている。
そう考えると普通だと俺は思う……うん、普通だ。
「反射的にねぇ……まぁ、その気持ちは分かるよ。
特に今回みたいに、体を動かした日には特にね」
士郎さんは体を”コキコキ”と鳴らしながら答える。
顔もどこか苦笑いをしている。どうやら今日の事で色々とお疲れのご様子。
「あ、あはは……そうですね。
そうだ、士郎さん! 僕、背中洗いますよ。手合わせしてもらったり
お風呂使わせてもらったりとしてるんで、背中洗わせてくださいよ」
「おッ! そうかい。
じゃあ……お言葉に甘えるとするよ」
士郎さんは浴槽から出て、たらいに腰掛ける。
表情やテンションが何か……ウキウキとしてるように感じられるが、気にしない事にする。
と、俺も出なくちゃあ始まらないよな。そう思い俺も浴槽から出る事に。
「それじゃあー洗いますよ?」
「あぁ、お願いするよ」
士郎さんに了解をとり、さっそく手に持つ手ぬぐいで”ゴシゴシ”と洗う。
背中を洗いながら、士郎さんの体を良く見ると傷跡が結構ある。
その傷の種類は切り傷やら火傷など色々だ。よっぽどの修羅場を潜ってきたと思われる。
「この傷が気になるかい?」
不意に士郎さんから声が掛けられる。この傷が気になるか……か。
気にならなくもないが、プライベートな事なので詮索は野暮だと思う。
「いえ、カッコイイなぁ〜と思ってました。
だってほら、よく言うじゃないですか? 傷は男の勲章だって」
俺は子供らしく、あどけた表情と声で言う。
そして、それから数秒経った辺りだろうか?
目の前の背中が小刻みに揺れている……どうしたのだ?
「くーははは! やっぱり君は面白い子だな、まったく!」
士郎さんは大笑いしながら、こちらに振り向く。
そして”ワシャワシャ”と俺の頭を撫で回す……何か、とっても嬉しそうだ。
「えっと……どうしたんですか?」
「ん? あぁ、いやね。
大抵の子供はこの傷を怖がって逃げ出すんだよ。
なのはなんて、初めてこの傷を見たときは泣き出した位だ」
『もう、何年も前の話だがね』と、士郎さんは思い出に浸り
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