第九十一話
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失ってしまうだろう。そして永遠に囚われてしまうかもしれない。
それは死よりもなお恐ろしい物に思えた。
汚泥はイリヤの心臓から流れている。彼女を助ける為に彼女に触れると言う事はその汚泥を浴びると言う事だ。
その事実に俺の足は止る。どうしてもイリヤを助けには行けなかった。
ならば先ず言峰を倒した後に生身の凛と士郎にイリヤを助けてもらえばよいのだろう。
問題はイリヤがあの汚泥にどれくらい耐えられるかと言うところだが…
まず言峰を倒す。それが最善であろうと一端イリヤの救出を諦めた俺の内から凶暴に猛る声が響き渡る。
『■■■■■■■■■■−−−−−−っ』
それは俺の持つ魔力の殆どを吸い上げると、俺の身の内より抜け出して実体化した。
実体化したそれはいつかの大男。バーサーカーだ。
実体化した彼はドスンドスンと音が聞こえるような踏み出しで汚泥の中に進み、その汚泥に汚染されながらもなお凄まじい精神力で克服し汚泥の中を進む。
「■■■■■■■−−−−−−っ」
イリヤを助ける。その一心のみを支えとして汚泥を書き進んだ彼はついにイリヤを救出し、彼女を俺目掛けて投げてよこした。
「わっととと…」
彼女の覆っていた汚泥に肌が焼けるが、少量のそれは俺の対魔力の前に散っていく。これほど少なくても俺の魂を傷付けられている。あの汚泥を直にあびたバーサーカーがどうなるかは分かりきった事だろう。
彼の元々浅黒かったその肌はいまは何ものをも汚す黒に変色している。
「バーサーカーっ!…あなたがわたしを助けてくれたの?」
意識を取り戻したイリヤが目の前の巨漢に声を掛けた。
しかし、それに答える声を彼は持っていない。狂化のクラスの縛りでまともな会話は望めなかった。
しかし、彼の目が、彼の意思を物語っているようだった。
自分ごとこの聖杯で出来た孔を破壊しろ、と。
そしてイリヤを頼む、とも。
「なっ…これが聖杯ですか」
それぞれ言峰とランサーを打ち倒したのか、凛と士郎がセイバーを連れて汚泥の側までやってきた。
「セイバー…」
セイバーが求めていた物の実態がこんな物であった事に士郎はなんと言っていいか分からない。
「そうみたいね…これがこの冬木の聖杯の中身。聖杯は汚染されていたようね。…ねえ、セイバー。わたしはこれをこの世に解き放つ事はこの地をあずかるセカンドオーナーとして…ううん、一人の人間として許さない。あなたがアレを望むとしても令呪をつかってアレを破壊させるわ」
リンがはっきりとアレを破壊すると決めた。
「いいえ、リン。アレは私が求めていた物ではない。アレは破壊すべき物だ。聖杯はまた次のチャンスがあるでしょう。リン、令呪を。いくら私でも令
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