第九十一話
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う。微妙な顔をされた。
一度厨房に引くと、凛はお皿にクッキーを盛り付けて帰ってきた。
「いただいても良いのかしら?」
「紅茶をご馳走になっているのはこっちだしね」
「それじゃ遠慮なく」
毒を混ぜているとは考えないのだろうな。どうやら彼女は以前俺が彼女を操ったと言う事に気がついているようだった。ならば警戒しても無駄と開き直っているのだろう。
「あ、美味しい…」
「ふむ。確かに美味だ。これは何処の銘柄ですか?」
「いや、俺が作った。そんな上等な物は使っていないただのクッキーだよ」
「なっ…」
あ、凛もセイバーも変な顔でフリーズしている。
「まぁ英霊とは言え、生前は人間として生活していたのだから料理くらい出来る英霊が居ても当然か…」
と、言いつつも二枚目に手を伸ばす凛。
「うぅ…うまいわ。…はぁ、またこれであなたが何処の英雄か、全く分からなくなったわ。幾人もに分裂し、剣技巧みな上に、お菓子作りの上手な英雄なんて聞いた事が無い」
そりゃそうだ。
「そもそも、俺は英霊になった覚えも無い。俺の正体を考える事ほどに無駄な事は無いだろうさ」
「え?じゃああなたはただの人間霊だと言うの?それだけの戦闘能力を有しておいて?まったく説得力がないわね」
「この世界の常識を俺に押し付けられても困る」
あ、しまった。つい必要ない言葉を返してしまった。
「この世界の常識…もしかしてそう言う事?」
その問いには俺は答えない。
「リン、何か分かったのですか?」
「あー…言っても良いかしら?」
凛が俺に断りを入れる。
「さて、あなたの想像の話を止める気は無いよ」
「そう…それじゃ」
と言葉を続ける凛。
「考えられる可能性としては平行世界からの召喚と言う事かしら。これならば確かにあなたの正体は考えるだけ無駄。だって、この世界には足跡一つないのだから」
「は?」
「平行世界の証明は我が大師、キシュア・ゼルレッチが証明しているから不思議な事は無い。もし、この世界から遠い所…それこそ神代の時代以前から大きく分かたれた世界が有ったとしたら?それは私達では想像も出来ない世界になっているかもしれない。世界はそれこそ数える事すらバカらしくなるほど有るのだし、一般人が等しく英霊以上の力を持っているなんて世界があると言う可能性を否定は出来ないのよ」
「なっ!?」
余りにも突飛な見解にセイバーが口ごもる。
「どうやってそんな世界の魂を英霊として引っ張ってきたのかは分からないけれど、イリヤスフィールは凄い者を呼び寄せたみたいね。それも複数人も…」
「くっ…だが、戦闘は戦ってみなければ分かりません」
「そうね。今のセイ
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