GGO編ーファントム・バレット編ー
56.死への恐怖
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ものように拳をぶつける。
「.......私.........」
不意にシノンが呟く。
「私、逃げない」
「「..........え?」」
「逃げない。ここに隠れない。私も外に出て、あの男と戦う」
キリトが眉を寄せ、シノンに上体を近づけて低く囁く。
「だめだ。シノン。あいつに撃たれれば......本当に死ぬかもしれないんだ。俺とシュウは完全な近接戦闘タイプで防御スキルも色々あるけど、君は違う。姿を消せるあの男の子に零距離から不意打ちされたら、危険は俺たちの比じゃない」
シノンはしばらくの沈黙のあと、静かに口をひらいた。
「死んでも構わない」
「「.........え.......」」
その言葉に言葉が出なくなってるいると、シノンがこちらを見てゆっくり語りかける。
「.......私、さっき、すごく怖かった。死ぬのが恐ろしかった。五年前の私よりも弱くなって......情けなく、悲鳴あげて.......。そんなんじゃ、だめなの。そんな私のまま生き続けるくらいなら、死んだほうがいい」
「........怖いのは当たり前だ。死ぬのが怖くない奴なんていない」
「嫌なの、怖いのは。もう怯えて生きるのは......疲れた。.....別に、あなたたちに付き合ってくれなんて言わない。一人でも戦えるから」
シノンは腕に力を込めて立ち上がろうとするが、俺はその手を掴み、訊ねる。
「一人で戦って、一人で死ぬ......とでも言いたいのか?」
「.......そう。たぶん、それが私の運命だったんだ.....」
(一人で戦って.....一人で死ぬ.....なんて)
脳裏に蘇るあの記憶........
『俺はオメェの助けなんていらねぇよ!一人で戦う!オメェはどっかに行きやがれ!』
「.....離して、私......行かないと」
振りほどこうとしたシノンの手を、さらにきつく掴んだ。
「.....お前は間違ってる。人が一人で死ぬ、なんてことはないんだよ。その人が死ぬときは、他の中にいるそいつも同時に死ぬんだ。俺の中にも、もうシノンがいるんだ!」
(もう、あんな思いは、したくないんだよ)
「そんなこと、頼んだわけじゃない。......私は、私を誰かに預けたことなんかない!」
「もう、こうして関わりあっているじゃねぇか!」
握ったシノンの手を持ち上げ、目の前に突きつけた。
その瞬間、一気に感情が噴き上がったように、もう片方の手で俺の襟首をシノンが掴みかかる。
「なら.......なら、あなたが私を一生守ってよ!!」
俺へ感情をぶつけるシノンの頬を流れ落ちる涙に動くことができない。
握られた右手が強引に振り払われ、拳を握っ
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