GGO編ーファントム・バレット編ー
56.死への恐怖
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おかしくなかったからな」
抱えた膝に額を落とすシノンに俺は、少し体を寄せる。
「そんなに、自分を責めなくていい」
「........」
俺の言葉を続けてキリトが言う。
「俺だって、あいつが隠れてることに気づかなかったんだ。もし役割を逆にしていたら、麻痺弾を喰らってたのは俺だった。ーーそしてその場合は、シノンが俺を助けていただろ。そうだろ?」
そのまま沈黙が続き、何十秒か経過した後に、再びキリトの声が聞こえた。
「......じゃあ、俺は行くよ。シュウ、シノンのこと頼んでいいか?」
「お前、まさか......一人で行く気かよ」
小さく頷くとキリトは、光剣のバッテリー残量を確認する。
「......一人で、あの男......死銃と、戦うの......?」
掠れ声の少女に、頷く黒髪の少年。
「ああ。あいつは強い。あの黒い拳銃の力なんかなくても、それ以外の装備やステータス、何よりプレイヤー自身の力が突き抜けてる。正直、あの銃を一発も撃たせないで倒すのは難しいだろう。さっき逃げ切れたのも、半分は奇跡だ。次にあの銃を向けられたら.....怯まずに立っていられる自身はない。今度こそ君を見捨てて、逃げてしまうかもしれない.....。だから、これ以上君を付き合わせるわけにはいかないよ」
「...........」
「.......キリト」
そうか、キリトとシノンは、死銃の弾丸が人を撃ち抜く瞬間を見てしまったんだろう。だから、キリトは、シノンを危険にさらさないために......。
「......あなたでも、あいつが恐いの?」
ぽつりとシノンが呟くと、キリトが光剣を腰のからビラに戻しながら、かすかに苦笑した。
「ああ、恐いよ。昔の俺なら.......あるいは、本当に死ぬ可能性があろうと戦えたかもしれない。でも、今は........守りたいものが、いろいろ出来たからな。死ねないし、死にたくない......」
「守りたい、もの.......」
「ああ。仮想世界にも.....現実世界にも」
その言葉を聞き、俺は反射的に口から言葉が漏れる。
「......なら、昔みたいに一人で行こうとすんじゃねぇよ。俺はお前の相棒だろ」
自分の言葉に俺は、安岐さんの言葉を思い出す。
『私には桐ヶ谷くんの抱えた重荷を取り除くことも、一緒に背負うあげることもできないけど、君ならできる。逆もそう。如月くんの重荷を桐ヶ谷くんが一緒に背負うことはできる』
俺は立ち上がりキリトの方をしっかりと見て口をひらく。
「だから、俺がお前の支えるからお前は俺を支えてくれ」
はぁ〜、ため息をついたキリトがこちらを見て少し苦笑いを浮かべ、拳をこちらへと向ける。それにいつ
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