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GGO編ーファントム・バレット編ー
56.死への恐怖
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「大丈夫、五秒後に揺れが止まる。いいか.......二、一、今!」

突如、ばうん!という音とともに大きなショックの後に、次いで嘘のように揺れが止まった。バギーが何かに乗り上げ、ジャンプしたのだ。視界の端でそれはちょうどジャンプ台のような格好で路面に突っ伏したスポーツカーだった。

(なぜ、そこまであなたたちは、強いの?)

その言葉が胸中に問いかけるが、それはすぐに自分の中で言葉を否定した。

この二人は、決して《強い》わけではない。たしかに怯え、悩み、苦しんで、それでも前を見る《強さ》を持っている。
先ほどのキリトの言葉のように、そこにはただ一つの選択があるだけだ。立つか、立たないか。撃つか。撃たないか。
だが、この二人が戦うのは、多分、互いを信頼しあっているからだろう。

自分が、この二人のようにできるとは到底思えない。でも、せめて今は.......今だけは.......

愛銃のトリガーにかけた指を、全身全霊を振り絞って引こうとする。
重ねられた手に後押しされて、指は徐々に沈んでいく。視界に表示される予測円が、気休め程度に収縮するが、まだ敵のシルエットは円の半分にも満たない。

多分、きっと、あたらない。

スナイパーとして初めてそう考えながらトリガーを引こうとする。

「大丈夫、自分を信じろ」

耳元で囁くような声が聞こえ、わずかに安堵し私は、トリガーを引き切った。

不安定な体勢ゆえに反動で飛ばされそうになるがシュウがしっかりと押さえ込む。ジャンプしたバギーが下降を始めた上から、放たれた弾丸の行方を追った。夕闇を切り裂く弾丸の軌道は、騎馬の死神のほんのわずかに捉えそこね、右へ逸れていく。

(外した......)

しかし、もしかしたら《冥界の女神》自身のプライドが完全なミスショットを拒否したのか、巨大な対物弾は、路上に横転する大型トラックの腹に食い込む。

GGOのフィールドに配置された人口オブジェクトは、ドラム缶や大型機械類は、一定以上のダメージを与えると炎上し、爆発する可能性があるのだ。

ちろっ、と大型トラックの腹から小さな炎が漏れた。
ちょうどその真横を通った死銃がそれに気づき、道路の反対側にロボットホースをジャンプさせようとした。

しかし、一瞬だった。巨大な火球が膨れあがり、トラックと騎馬を呑み込んだのは。

ジャンプ終えた三輪バギーが凄まじいバウンドの衝撃を受けるがなんとかキリトが体勢を立て直す。
爆発そのものは、ジャンプ台となったスポーツカーで遮られたが、火柱の中でバラバラになる機械馬のシルエットが視認できた。

(倒した.......?)

一瞬そう思ったが、オブジェクトの爆発するごときで、あの死神が死ぬわけない。でも今は、時間稼ぎを
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