第8話「春休」
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ギが驚きの声をあげた。
「そーなんや、おじーちゃんがお見合い趣味でな。いつも無理矢理進められるんよ」
「……大変だな」
どうでもいいのか、適当に相槌を打ちながらも窓の外を見つめているタケル。グラウンドでは黒服のSPらしき人物が「木乃香お嬢様〜」と叫び、2−Aの女性徒たちは「ネギ先生〜」と走り回っている。
なにやら楽しそうに話しをしている渦中の人物達に視線を送るタケルだったが、その目に映ったのは随分と呑気な光景。
どうやらネギの手相をみているようだ。
「ネギ君の将来のパートナーはな――ものすごく近くにいます」
「えっ」
――パートナー……か。
視線を外に戻す。
今の自分はいつ死んでもおかしくない状況にある。これはもちろん、元いた世界の時からずっとついて回る問題だ。
虚しさを覚えると共に、図書館島で楓と戦ったときのことを思い出した。
自然と熱くなった頬に、首を傾げて、それでもにやけた顔になっている自分の表情が窓に反射して目に映る。
――なんだ?
よくわからないこの感じをリセットしようと首を振る。なんだか静かだったので後ろの二人に目を移して「なっ」
丁度二人してずっこけていたのだ。しかも、木乃香のパンツが見えるというアクシデント付き。
「だ、大丈夫か?」
ドキドキしながらも二人に手を差し出す。
「あ、ありがとうございます」
「先輩、ありがとー」
と二人がその手を掴もうと手を伸ばし――
「うふふ、お三人とも仲がお宜しいようで……」
「「「え?」」」
ネギの背後、扉の位置にアスナと雪広まどかが二人して肩を震わせていた。
「ネギ、アンタね〜。心配して探しにきてみれば」
「……木乃香さん、あなたという人はネギ先生だけでなくタケル先生まで誘惑するとは」
「というか、タケル先輩も……何てことを!」
「先生はそこらへんの男とは違うと思っていましたのに」
確かに、木乃香のパンツが見える位置に男二人が群がっている、ようにも見えなくはない。
「……いや、ちが」
タケルが首をかつてないほどの勢いで横に振る。
「あ、アスナさん……誤解――」
「いやな、委員長。これは違うねん」
ネギと木乃香も弁解に入る。だが、「「こっちだぞー」」
「ネギ王子〜〜」
「発見!」
「木乃香お嬢様〜〜」
SPたちとネギを探す女性徒たちまでもが教室に入り乱れる。
――グッチャグッチャになりました。
「ちょ、俺関係ないだろ」
なんて言葉は当然、誰の耳にも入ることはなかった。
結局、ボロボロになって学園長に報告に行ったものの、既に帰った後だったという。
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