第7話「試験―A」
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ところでクルリと体を回転。
見事に足で着地し、それとともにタケルの足元から蒸気のようなものが噴射された。
「悪かった」
楓を地面に下ろし、素直に頭を下げる。
先程の彼女の戦闘を横目で見ていたタケルにはわかったのだ。彼女は一人で飛び降りても無事に着地できる人間だということに。
「いや、あれはアレで珍しい体験ができてうれしかったでござるよ」
いきなりセクハラまがいのことをされたのだから怒っているかと思えばそうでもないらしい。笑ってくれる楓にタケルはホッと微笑んだのだった。
「それで、その武器はなんでござるか?」
楓が何気なく発した言葉にピシとタケルの空気が凍った。楓の視線と自分のもつXガンを交互に見比べ、そしてがっくりと膝を折った。
「……しまった」
――つい使ってしまった。
彼にしてみれば仕方がなかった、としか言えない。身動きの取れない空中で星人とやりあうのにソードだけで挑むなど愚の骨頂でしかない。下手をすれば死んでもおかしくなかった。
――何て言おうか。
必死に誤魔化す言い訳を模索するが、そんなすぐに良い案が思い浮かぶはずもない。これは正直に言うしかないんじゃ、狂人あつかいされないだろうか、というか頭がボンとなるだろうか。最悪そんなことまで考え込んだタケルの脳内に神様が降臨した。先程、楓が漏らした言葉を思い出し、そこからパッと思いついた言葉を並べ立てる。
「あの魔物を狩るための俺の専用武器、みたいなものだ」
「……」
沈黙が重い。
ジッと見つめる彼女の視線を受け、身じろぎ一つせず次の言葉を待ち受ける。
「専用武器ということは、タケル殿はあのような魔物をよく狩っているでござるか?」
「え……ああ、まぁ、そうだな」
――あれ、そっちに食いつくか?
「なるほど」
それきり俯いた楓に、タケルは声をかけようか迷ったが、今はそんな場合ではないことを思い出してコントローラーを見る。
「あとは雑魚5体とボスが1体か」
――声をかけないほうがいいのか?
先程から動かない楓に、タケルが迷いながらも声をかけようとしたところで彼女が動いた。
「タケル殿?」
「……なんだ?」
「拙者もそれを手伝うでござる」
「……ああ、助かる」
――心強いな。ガンツスーツを着ていない分、心配がないといえばウソになるが、それでも彼女は生身でスーツ級の戦力を保持している。
タケルには何となくそう思えた。
――というか武器は誤魔化せたのか?
なんとなく彼女に目を向けると「?」と首を傾げられた。
――桜咲さんといい長瀬さんといい、この世界の人たちは結構何でもありなのか? ……だとするとZ
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