第7話「試験―A」
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「この足場はよくない、飛び降りるぞ」
「……飛び降りる?」
高さにしておそらく数百メートル単位、下手をすればもっとある。カエデでも気や術を使うか、ところどころの足場を用いなければ降りられない高さだ。
「拙者を抱えてでご……」
カエデが最後まで言い切る前にその場から飛び降りた。さすがにこれほどの高さだとすぐさま床に衝突はしない。
体の中で最も重い頭部が真っ先に地面に向き、頭に血が上るのがわかる。それでもカエデのお姫様抱っこを解かずに落下を続ける。
体が風を切る中、翼を持つそれは当然やってくる。下方左に2体。右方に3体。両手で抱えていたカエデを片腕で抱き寄せ、銃を取り出す。
「長瀬さん!」
「ニン」
短く答えたカエデがタケルの腕をすり抜け、肩に乗る。
タケルはカエデの運動力に純粋に舌を巻きつつも、右方のスズキ星人を照準で捉え、上トリガーを3発ひき、標的へのロックを即座に済ませる。
一方、カエデはタケルが取り出した銃の形状に首を傾げながらも、どこから取り出したのか、身の丈を越えるサイズの手裏剣をとりだし、敵を見据える。
チャージ、チャージ。
Xガンが唸りをあげる。
カエデが手裏剣を投じた。それは確実に一体をしとめ、壁に突き刺さる。
「肩を御免」
タケルにささやく。「? ……ああ」よくわからずに頷いたタケルの肩を蹴り、壁に刺さった手裏剣を回収。再び壁を蹴った。
カエデに肩を蹴られたせいでバランスが崩れたが、そもそもロックを終えているので今更そんなことは些細な問題だった。
「発射ぁ!」
タケルが声を放つと共に銃撃が放たれる。ロックされて放たれたXガンの射撃は確実に星人へと着弾を果たしていた。
3体の星人が獲物に襲いかかろうと嘴を開け、爪を振るい、タケルに到達しようとした所で――
壁からタケルの元へと戻る最中、残りの一体の魔物が翼の形状を刃物に変えてカエデに襲い掛かった。どうすればそんなことが出来るのか、カエデは一度空中を蹴り、その翼の刃を難なく避けてみせる。そしてすれ違いざまに手裏剣を一閃――
――星人の頭部が弾け飛んだ。標的を見失った体は各々好き勝手に壁へと激突。そのまま階段へと落ち、動かなくなった。
――星人の首が刎ね飛ばされた。刎ね飛ばされた首は数秒ほどつながっていたが、旋回しようと星人が態勢を変えた途端にずれ落ち、それに気付いた体がまるで今になって重力を思い出したかのようにそのまま墜落を始めた。
楓がタケルの腕に再び収まる。両腕でお姫様抱っこに抱えなおして、残り数mへと迫った
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