第7話「試験―A」
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2体の星人とタケルが交差する。一体が腹部めがけて嘴をつき立てようと真っ直ぐに飛来し、もう一体は頭部を目指してその爪を振るう。
――Xガンは……やめたほうがいいな。
チラリとカエデに視線を送り、タケルが取り出したのはガンツソード。
Xガンのほうが楽に倒せるはずだが、この世界には存在しない形状の武器を見られるのは好ましくないという考えからだ。
「ふっ」
小さく息を吐き、ソードを伸ばして一刀のもとに2体を斬って落とす。「ギゲ、グ!」と意味不明な断末魔をあげながらそのまま深い底へと落ちていく鳥のような星人たち。
「……」
簡単に撃退して見せたタケルだったが、表情は険しい。
「……足場が悪いな」
そう、彼等は一時間近くも螺旋階段を上ってきたわけで、つまり足場は段差のある場所しかないのだ。
――もっと一気に来られたら面倒だな。
今更考えても仕方がないことだが、Zガンを持ってきていないため一撃で一掃、という手段はない。
少し考える素振りを見せ、だが、それがいけなかったのか。気付けばカエデに一体のスズキ星人が飛び掛っていた。
「……長瀬さん行ったぞ!?」
だが、タケルの呼びかけは全くの無意味だった。
「あいあい♪」
彼女もまた独特な掛け声を発し、飛来する星人に見事に飛び乗り、トンと後頭部らしき位置に手刀を叩き込んだ。「ググ」とくぐもった声と共に墜落を始める星人。そして星人の背を足場にタケルの横に降り立った。
一瞬、タケルは声を失った。
「気を失わせただけでござるが、この高さから落下したなら墜落死は免れないでござるな」
事も無げな様子のカエデ。
スーツもなしに星人を倒す。しかも武器すら使わずに。
――非常識だ!
叫びたくなるのを堪えて頷く。
「……ああ」
「あの手刀が効いたということは生物なのは間違いないでござるな」
ふむ、と敵の正体を考え出したカエデだったが、すぐさまその思考を中断させられることになった。
突然、脇と膝の辺りに回されたタケルの腕。それに伴い、行き場を失い浮かび上がった足。ふわりと持ち上げられて、いわゆるお姫様抱っこだ。
「む……ちょ、何をするでござるか!?」
さすがに中学2年生で180cmを越えているだけあって、こういった女性のような扱いは初めてだったのだろう。滅多なことでは動揺しないカエデが顔を赤らめる。
だが、偶然その表情を見てしまったタケルはさらに悔しげに呟く。
「くっ、どうしてウチのクラスはこう……」
――グッとさせる表情を出来る娘が多いんだ。
さすがに後半は内心で呟き、カエデの方を見ないようにして言う。
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