第7話「試験―A」
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エレベーターが見つかり、あとは帰るだけ。
――地上に戻ったら、とりあえずあの三人に教えるか。
そう考えたときだった。彼の背筋を例のアレが襲ったのだ。
「!?」
誰にも見られないように注意を払いつつ、それでも急いでポケットからコントローラーを取り出した彼はやはりというかうんざりというか、そんな表情を見せる。
――いる。
星人の位置を示す赤い点がいくつもある。点自体は小さいようだが、数が多い。
――ボスミッションか?
と冷静に考えるのもそこまで。
まずいことにその内のいくつかはタケルたちの方に向かってきている……しかもなかなかの早さだ。
慌ててカエデの背を押し込み、しかしその瞬間にはエレベーターのブザーが鳴り響いた。全員乗り切るには重量オーバーだったということだ。
「――何!?」
タケル自身でも信じられないほどの大きさの声で吐き出された言葉だが、その声がいけなかった。何らかの非常事態が迫っていることに気付いたカエデがすぐさまその身を翻してエレベーターを作動させた。
結局、二人を残して地上へと移動し始めたエレベーターを背に、タケルとカエデ敵を待ち受けることになった。
「「……」」
ほんの少しの静寂が二人を包む。
「長瀬さん、隠れていたほうがいい」
また平坦な声色に戻ったタケルの言葉に、カエデは首を傾げる。
「……なぜでござる?」
「……それは――」
「それは?」
「――こいつらだ」
タケルが示したとおり、それらは現れた。
羽ばたく大きな翼。人体を簡単に引き千切ってしまえそうな鋭利な爪や嘴。大きさは人間でいうと成人男性と大して変わらないだろうか。翼を含めればそれ以上。
わかりやすく表現するならその姿は田中星人の中身と酷似している。違うのは翼と脚部の発達具合だろうか。
田中星人に関しては歩くため人に間と同じような足を備えていたが、代わりに翼が発達するのが遅かった。その証拠にボスの田中星人しか翼で飛ぶことは出来なかった。
だが、目の前に姿を現した彼等は違う。より鳥に近い姿をしている。鳥のように発達した翼。鳥のように退化した脚部。
――名づけるなら……スズキ星人、でいいか。
「……魔物?」
カエデが声を漏らしたと同時、2体の星人がその身を翻してタケルに殺到する。
「タケルどの!?」
「問題ない」
――肉眼で確認できる程度の速度で連携もない……典型的な雑魚。
大体の敵の強さを測り、大した敵ではないと考える。だが、タケルに油断はない。雑魚でも時に
強力な攻撃方法を有していることがあるからだ。敵の戦力を過不足なくはかることが生存への近道となる。
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