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八条学園怪異譚
第三十六話 美術館にその六
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「それでもお話聞けないと意味ないですよ」
「自分の面子の為だけにさせたのじゃ」
「完全におかしいですね」
「しかも一時間以上じゃ」
 自分は座らないが生徒にはそうさせたのだ。
「こうした教師と比べればな」
「うちの先生いい人ですね」
「まるで神様みたいですね」
「全くじゃ、世の中最低な教師は多い」
 実に、である。
「そうした教師のおる部活は駄目じゃ」
「そうですね、幾ら素晴らしいことをする部活でも」
「それでも」
「かるたも然りじゃよ」
 二人が今しているそれもだというのだ。
「録でもない教師が顧問ならな」
「入るべきじゃないですね」
「絶対に」
「そうじゃ。もっとも人の素顔は容易にはわからん」
 そうした教師についてもだというのだ。
「しかしわかったらな」
「はい、その場合は」
「避けた方がいいですね」
 そうした教師からである。
「さもないと碌なことにならないですから」
「だからですね」
「避けられる災厄からは避けることじゃ」
 それに限るというのだ。
「かるたは他の場所でも出来るじゃよ」
「はい、学校の部活でなくとも」
「町でも先生がいますから」
「普通にそうした場所に行けば」
「かるたも出来ます」
「そうじゃ、好きなものでも碌でもない人間に教わっては面白くとも何ともなくなる」
 しかもそうした輩が教える場所では大抵碌でもない生徒も来る、花には蝶が寄るが汚物には蠅が寄るものだ。
「だからじゃ」
「部活にこだわることはないんですね」
「好きなものは他の場所でしてもいいんですね」
「そういうことじゃ。それがわからぬと」
 どうなるか、ぬらりひょんは普段の飄々としたした顔ではなく悲しいものを思い出す顔でこう言ったのだった。
「不幸なことになる」
「なりますね、本当に」
「若しそうした場所で続けたら」
「世の中腐った者も多いのじゃ」
 ぬらりひょんもこれまでの人生でわかっていることだ。
「そうした人間は避けよ」
「そういうものなんですね」
 愛実もぬらりひょんの言葉に真剣な顔で頷く。
「おかしな人には教わるな、ですね」
「友人は選ぶべきじゃが師匠も選ぶべきじゃ」
 部活の顧問も師匠になる、碌でもない師匠がまともなことを教える筈がないというのだ。
「だからじゃ」
「それでなんですね」
「気をつけよ」
 またこう言うぬらりひょんだった。
「よいな」
「ですね、うちの部活はいい先生ですけれど」
「悪い先生だったら」
 どうかとだ、二人はそのケースから考えだして述べた。
「生徒に暴力を振るう様な先生だったら」
「最悪ですよね」
「暴力は論外じゃ」
 言うまでもないというのだ。
「言葉の暴力も入る」
「そっちもですね」
「問題外なんですね」
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