本編 第一部
一章 「出会いはいつも唐突に」
第二話「校舎裏の死闘」
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それからしばらく経っている。だが俺とあいつは廊下ですれ違ったり、朝、目が偶然あったときなどにときどき、挨拶をするくらいだった。
あの事件は、おれがそのあともにらみを聞かせていたので誰も口にすることがなかった。
豊村伊佐はやはりいつものあのまったく周囲に関心のない態度でいた。だが注意深く見ていると奴は時折、ほかのクラスメイトをみている。自分に友達らしき人間がいないから羨ましがってるとか本当は寂しいとかではない。あいつはなんというか人間そのものを見ているのだ。女子どもの戯れや男子の馬鹿騒ぎをまるで人間のやることは面白いというふうにどこか自分が人間ではなくてそうだな、前に映画でやってた物語に出てくる長いときを生きたドラゴンのような目で人間たちの生活を面白がっているような感じだ。
そう、ときどき女子で勘のいい者や男子でも特別、よしむらにこれはこの学校の男子のなかに結構いるのだがイサのファンのような男子たちが自分たちが見られていることに気づく。だけど決まって恥ずかしがるのはその見られていた女子や男子たちでだれもよしむらがどうして私たちを見ていてなにを考えているのか聞こうとはしない。もっとも好奇心の強い男子が少し聞いてみようとするのだが、よしむらがもっと目を輝かせそれすらも面白がっているようなので、やはり言葉にならなくなる。そうなるとよしむらはなおさら、面白そうにみる。結果、この学校のどんな男子も彼女に話しかけることさえできなかった。
そうして時がたって、俺の身に人生最大の困難が降りかかってきた。ついに俺の金髪が上級生の悪い人に目をつけられたのだ。理由としてはあの豊村伊佐とわずかだが挨拶を交わしてるということだった。俺は校舎裏に呼び出された。こんどの呼び出しの主犯格はあの剣持先輩だった。先輩は自分が下級生のくせに調子づいてると、まあ、お決まりの因縁をつけてきたのだ。だがおれは剣持先輩と数人の取り巻きを見て少しほっとしていた。学校一の不良たって、ただの高校三年生。プロボクサーが出てでもこないかぎり負ける気はしなかった。まあ、はじめに得意のガンつけしてみたところ四、五人はビビリが入ったようだ。この程度のにらみ合いで心が折れちまうやつは喧嘩が弱いからしたがっているにすぎない。
「やあ、金髪くーん、こうやって会うのは初めてだねえ。けっこうな眼力じゃないか、気に入ったぜ、今日は公開処刑パーティーだ。楽しんでくれ」
おれは、もうこいつらの話など聞いてなかった。何故って奴らのやろうとしていることは明確だったし、正直そのノリにつきあって変にこっちの調子をくずすのも癪だ。そっちも分かっているのか下っ端はおれを囲もうとする。
んで、まずはそいつを左のジャブでそれぞれの顎、心臓、肝臓を打ち抜いて無様に地面に転がした。っていっても俺だって高校生だ、体はまだ、大人に比べれ
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