本編 第一部
一章 「出会いはいつも唐突に」
第二話「校舎裏の死闘」
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うことを聞いてやるよ。まあ、結果的に私のためにそんな面になったわけだからな」
「じゃあ、おめえキスでもしてくれるか。おまえみたいな女からされたらきっとすげーんだろーと……」
そのとき、あいつの唇がおれの唇と合わさってあいつのやわらかい感触が体中に駆け巡った。おれはそのまま動けなくなってあいつに唇をまかせたままになった。あいつはぜんぜん恥ずかしがるようすもなくその感触を楽しんでるようだった。そのうち、あたまのヒューズがとんでくらくらしてきて、体の力が抜けた。足ががくっと落ちてそのままあいつにかぶさるように膝が折れた。しっかり受け止められてイサの体のやわらかさを感じる。
「貸しはこれでちゃらだな。うん、けっこういいもんだな、キスってはじめてしたがあの砂袋でぼこぼこにされても落ちなかった男の膝を折るとは、私もなかなかだろう?」
「ばかやろう。そういう大事なことのあとにそんなふうにふざけるな。まったくいい女だぜ、おまえ」
それから、疲れがきて意識が遠くなった。意識が戻っておきると保健室で寝ていた。体を起こしてみる。ぐう、まだくらくらする。これはどっちかっていうとあいつのせいか。あいつってのは、まああいつだ。
って、ちょっとまてよ、あいつほんとにキスしたのか?それもはじめてしただと?その時の光景が頭にまだ鮮明に残っている。あの綺麗な顔が触れるくらいに迫ってきて、唇に心地よい感触がきて。
ボッと赤くなった俺は、もだえるように毛布にくるまった。
「ん?あれ、藤沢くん?起きたと思ったら、また寝ちゃった?もう、最近の不良は、ほんと過激よね。あんな綺麗な彼女に保健室まで送ってもらっちゃって。あんたもいい男前なんだからそんなにあざばっかり作ると顔の形変わってモテなくなるわよ。まったくあんたのファンってけっこう多いのに明日から登校どうする気よ」
俺が、やっと起き上がれるようになったのはそれから三時間もたったあとだった。帰り道、俺は思った。豊村伊佐、あいつっていったい何者なんだろう。どうしたらあんなふうに育つのか。母が話してくれるアメリカの生活でも伊佐のような女性は記憶にない。ただ、アメリカの方が少しだが彼女のようにオープンな性格の女性は多いようだ。
もしかして帰国子女とかでものすごいポジティブな国で育ったとか?
まあ、何にしても俺にとって彼女の存在は、なんだか俺が知ってる世界とはまったく違う世界があるということを教えてくれるようだ。
俺は心の隅っこのほうで密かにできるならあいつのことをもっと知りたくなっていた。
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