第43話 日焼けにご用心
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それとも行かないの?」
尚もなのはの催促は続いた。彼女にとってみれば幽霊よりもボールの方が心配なようだ。
「お、お前……話聞いてなかったのか?」
「聞いてたよ。幽霊とかそう言う類のが出るって。でもそれでボールを諦めるのは嫌だよ! 折角点数取って勝ってたのに」
話にならないとはこの事であった。幽霊に出会って驚かされるよりも、ボールがなくて勝負がつかなくなる事の方がなのはには重大な問題だと言うのだから。
「そ、それじゃお前が取りに行けば良いだろ!」
「よ、よっちゃん!」
突如、逆切れの如くよっちゃんと呼ばれる小太りの少年が声を発してきた。
すると、なのははそれを待ってましたかの様に頷くと迷いなく森の方を見る。
「しょうがないなぁ。その代わり、ちゃんと待っててよね。負け逃げとかしちゃ駄目だよ」
「わ、分かった。分かったよ!」
釘を刺し、そのままなのはは見えなくなったボール探しを始めるのであった。公園の隣にあった森林地帯は思っていたよりも深いらしく、入ってから数メートルと歩かない間にすっかり回りは高い木々に覆い囲まれてしまっていた。
「え〜っと、ボールボール〜」
が、なのはにそんな事など気にする筈もなく、迷子のボール探しに夢中になっているのであった。
遊びに夢中な少女に深い木々や不気味な森林地帯などアウトオブ眼中なのであろう。
もしくは、単に現状を理解していなかったりするだけかも知れないのだが。
そんなこんなで深い森林地帯を歩き回った末の事であった。
先ほどまで目の前に生い茂っていた太い木々達が陰を潜め、変わりに広い空間が出迎えてくれた。
そして、その中央には古い寺の様な建物が建っている。
遠目からでも分かる位にその寺は腐食や老朽化が進んでおり、大きな地震一つで簡単に崩壊してしまいそうな位のボロ寺でもあった。
「うわぁ、見るからにボロボロな寺だなぁ」
身も蓋もない発言をしつつもそのボロ寺の回りを歩く。もしかしたらこの近辺にボールが転がってきたかも知れないからだ。
そんな風に歩き回っていると、やがてその寺の境内にまで歩いてきた時だった。
境内を登る階段に誰かが座っていた。
赤い袴と白い着物。所謂巫女さんみたいな服装をしたなのはより若干小さい女の子が其処に居たのだ。
髪は金のロングで、物静かだが何所か寂しそうな顔をしたその女の子は、白と黒の二色しかないボールを物珍しそうに見つめながら手の中で転がしていた。
間違いない。あれこそが探し回っていたボールであった。
「ボールあったぁ!」
思わず大声を挙げてしまった。すると、その少女はビクッと肩を震わせて声のした方に視線を向けた。
その仕草を見て、なのはも自分がその子を驚かせてしまった事に気付く。
「あはは、ごめんね。驚かせちゃっ
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