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駄目親父としっかり娘の珍道中
第43話 日焼けにご用心
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かそう言ったのも流行で出てはいるが、そんなの一庶民が一々買っていられる筈がない。
 なので、大概の子供は未だに外遊びで時間を潰すのが主となっていたのだ。
「おぉい、今度こそ俺達が点を取るぞ! 何時までもあいつに舐められてんじゃねぇよてめぇら!」
 キーパーをしていたちょっと小太りな少年が回りの少年達に指示を送る。それ程までに彼等はなのはを敵視していたようだ。
 事実、幼い頃から遊びに関して全力全開で生きてきたなのはにはこの遊びも他の少年達に比べて郡を抜いた腕前を持っているのだ。
 が、だからと言って何時までも彼女に負けっぱなしでは男が廃ると言う物。少年達は己の威信に掛けてでもなのはを叩きのめそうと躍起になっているのである。
 そんな訳で再度ゲームが開始された。キーパーが渾身の力を込めてボールをフィールド目掛けて蹴り放つ。
 だが、余程力んで蹴ってしまったのだろう。少年が蹴ったボールは見当違いの方向へと飛んでいってしまった。
 公園の横には深い森林地帯が生い茂っており、気味悪い場所な溜に誰も近づきたがらない場所となってしまっていたのだ。
 そんな場所にボールが飛んでいってしまった。これは由々しき事態である。
「何やってんだよよっちゃん! ボールはあれ一個なんだぜぇ!」
「しょうがねぇだろ! 行っちまったもんわさぁ!」
 忽ち少年達で口論が勃発してしまった。折角の遊び道具であるボールを森の中へと放り込んでしまった。となれば、本来なら蹴り込んだ本人が探しに行かなければならない。
 だが、その蹴り込んだ本人はどうも行きたがらなさそうに必死に言い訳を述べている。
 が、そんな言い訳が通用する筈もなく、ついには殴り合いの喧嘩にまで発展しそうになりだしていた。
「ねぇ、ボール取りに行かないの?」
「い、行けたらとっくに行ってるんだよ! でもよぉ……」
 普段は強気の少年達もあの森を見た途端沈み込んでしまった。そんな理由が分からずなのはは首を傾げている。
「あの森に何かあるの? やぶ蚊が凄いとか?」
「そんなんじゃねぇよ。実はさぁ、昔から良く言われてるんだけど、あの森……出るらしいんだぜ」
「やぶ蚊が?」
「お前は一回やぶ蚊のネタから離れろ!」
 これもまたなのはの性格の一種である。普段はしっかりしている面があるのだが時たまにどうしようもないボケを連発する時もある。
 シリアスな会話をしている際にそれをされると流石に苛立ちを感じてしまうのは仕方ないと言えば仕方ない。
「そうじゃなくて、出るんだよ! 幽霊とかそんな感じの類がさぁ!」
 震える声で少年がそう告げる。その声色からどれ程彼等が恐れを抱いているのか容易に想像が出来る。
 が、それは常識人であればの話。
「ふぅん、それで?」
「え?」
「ボールを取りに行くの? 
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