第四話 オニゴッコ
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「んで、あいつらどこいった?」
「ねぎ星人ってのを捕まえにいったんじゃねぇの?」
後の五人、メガネの人にヤクザ二人、それと金髪と西。着替えている間にとっくに何処かへ行ってしまった。ガンの人も着替え終わる直前までいたのだが黒野と馬鹿話をしていたら見えなくなっていた。
「お、なんだそんな遠く行ってないじゃん」
遠くに見えるかすかな人だかり。眼(・)頼りにすることによって発見できた。金髪が目立つ。
「なんだぁ? 何か追いかけてる?」
「え、誰を追いかけてるんすか?」
眼をいつもより少し大きく開けて観察する。
「なんか、小さい……子供みたいなの」
「あ、飛んだ」
「え?」
アパートに追い詰められた少年っぽい人は、二階から後ろへジャンプするようにして飛び降りる。着地は顔面からだった。
「……最近のガキはポテンシャルがすげぇな……俺の時とは段違いじゃねえか」
「ちょ、ちょっと見てくる! 計ちゃんそのコ家まで送ってやってくれ!」
「えっ」
「えっ」
「……」
人選を間違えたな、加藤。
「お……おお……」
「なるほど、こうして送り狼が出来上がるわけか。うぉぉおおおん!」
「うるせぇよ!」
「……」
さっと若干俺の後ろに隠れる岸本。ちょっとどやる竜夜にあきらかにがっかりする黒野という歪な構図が出来上がった。黒野には申し訳ないが、岸本が若干緊張が解けてきているのでこのスタイルで行こうと思う。許せ黒野。
しばらく雑談をしながら歩く。とりあえずここの最寄り駅まで行こうと話しとなった。そして、見つけてしまった。
「はーい、ここで右折……はないから迂回するよん」
「え、なんでだよ」
「なんでもだよ」
こいつらにはあれはまだ早い。
眼に映るはあのガンの人の死体。体に外傷はなさそうだが確実に死んでいることがわかる。頭が無い。破裂していた。なによりこれ以上いくとなにか良くないことが起きる気がしてならないのだ。少し無理やりにでも従ってもらおう。
「あっちの方が近道だからさ」
「いや、そっちに駅見えてんだけど」
しょうがない。奥の手を使うしかないか。
「よし、じゃあ黒野はこのまままっすぐ行きなよ。俺はこっちから行くから。おいで恵ちゃん」
少しこっち側へくる岸本。よし、危ない賭けだったが若干俺の方が好かれてるみたいだ。
「なッ! ……そうかよ。んじゃーな」
「黒ちゃん」
「んだよ」
じっと目を見つめる。竜夜の眼と黒野の目が交じり合う。
「警告、したからね」
「……」
そのまま黒野は行ってしまった。どうやら大失敗してしまったようだ。
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