第27話 龍の巫女
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のブローチも、清楚な彼女に相応しい非常に落ち着いた、しかし、精緻な造りのブローチで有った。
もっとも、この有希にプレゼントした三点の装身具を製作したのは俺の式神のノーム。宝石などの細工を得意としていると言う伝承を持つ精霊だけに、彼が造り出した宝飾品は、それだけで価値が有ると言われている。
まして、すべてに某かの魔法や魔力が籠められている以上、市場に流せば、その精緻な細工の出来よりも別の理由で、非常に高い値段で取引される事が間違いなし、と言う宝石類でも有ります。
特にこの青玉製のブローチは、この三点の中でも価値が高い代物。
何故ならば……。
「このブローチには運命の女神フォルトゥーナが封じられている」
……と、簡単に有希に対して告げる俺。
そう。女神フォルトゥーナ。ローマ神話に伝えられる幸運の女神。
このブローチの形自体が、タロットカードの運命の輪を暗示して居り、何となく幸薄そうな有希の最初の式神としては相応しい式神だと思われる存在。
このブローチを持つ事が許された。つまり、女神フォルトゥーナに認められた存在に対して、幸運をもたらしてくれる事は間違いない。
但し、認められない者が所持すれば、呪いの宝石と化す事が確実な魔法のアイテム。
そんな俺の説明に対して、微かに首肯く有希。
そう。彼女も気付いているはず。あのムカデと俺の戦いを見ていた彼女ならば。
あの時の戦いの経緯を。……普通の人間には絶対に理解出来ないスピードでの戦いの内容を、彼女が完全に理解出来ていたのならば。
あれが人ならざるモノ同士の戦い。……神に近い存在。いや、場合に因っては神そのものが争う刹那の時間の中で繰り広げられた戦いでしたから。
そして、
「それにな。女神フォルトゥーナと有希の組み合わせは、ある意味、今回の戦いに於ける切り札と成り得る組み合わせなんや」
……と、この一連の会話の中でもっとも重要な部分を口にしたのでした。
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