第27話 龍の巫女
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
茶店内を流れていた曲のように、恋人を自らの夢の世界へと呼び寄せてくれる、そう言う事なのかも知れません。
この宝石を常に身に付けて居る、と言う事は……。
「そうしたら次。このプラチナの指輪について」
俺はふたつ目の箱から、何の変哲もないプラチナ製の指輪を取り出して、有希に手渡した。
彼女の手の平の上で、プラチナに相応しい光を発する小さな指輪。
「これは仙術を発動させる際の触媒。今までは多分必要が無かったと思うけど、これから先は違う。おそらく、最初はその触媒となる法具が有った方が仙術を発動させ易いと思う。これは、その為のアイテムだと言う事」
彼女の場合、今までどのような原理で世界に影響を与えて魔法に類する能力を行使していたのか、正直に言うと俺には判らないのですが、その能力が思念体の元を去ってからでも行使可能かどうかは判りません。
そして、彼女の立場では、身を護る為にも魔法に類する能力は必要不可欠で有り、まして、水晶宮の現在の長史の見立てでは有希には仙骨が存在しているようですから、このまま捨て置かれる事はないはずです。
おそらく、玄辰水星が彼女の仙術の師と成るのでしょう。
もっとも、本来ならば、彼女の未来が確定したその時に仙術の師となる玄辰水星から用意される物なのですが、今晩の戦いから必要となる可能性も高いので俺の方から用意したのです。
俺の説明に対して少し視線を落とし、自らの手の平の上に置かれた指輪と、そして俺の顔を交互に見つめた有希。
そして、
「この指輪は、どの指に嵌めたら良い?」
……と聞き返して来る。
やや真剣な雰囲気。ただ、魔術的な意味で言うのなら、この質問は強ち間違った、どうでも良い質問と言う訳では有りません。
「基本的にプラチナには魔力を強めたり、持ち主を守護したりする魔力が籠められて居る、……と言われている貴金属。
そして、俺には有希の仙術の才能がどの方向への才能かが判らないのではっきりした事は言えないけど、この指輪を嵌めるのならば、創造を象徴する薬指が相応しいと思う」
尚、左手ならば願いの実現に。右手ならば精神の安定と言う意味が有るので、指輪を嵌める手に関してはどちらでも仙術の発動に関しては良い影響が有る事は間違い有りません。
俺の答えに、少しの空白の後、自らの左手の薬指に指輪を嵌める有希。何となくその動きに、別の意味も見出せるような気もしますが……。
ただ、俺が彼女の指に嵌めた訳ではないので、これは、これで問題ないですか。
そもそも、薬指が良いと言ったのは俺の方ですしね。
「そうしたら、最後。この青玉を使ったブローチに関してか」
三つ目の箱から、銀の台座に少し大きい目の青玉をあしらったブローチを取り出す俺。
こ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ