第27話 龍の巫女
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能でしょうが、体調……。特に、霊道を穢されたなら、その場所の穢れを取り去るにはどれぐらいの時間が掛かるのか、実際、知って居る範囲内で残されている資料や伝承などでは判りません。
例えば、本当の龍神には寿命と言うべきものは存在しないのですが、人と関わる事によって、多くの龍は死すべき定めと言う物を与えられます。
これは、有る面から言うと大自然の力の象徴で有る龍が、人と関わる事に因って人の業や穢れに侵されると言う事でも有り、その事に因って穢れを取り去る事が出来なく成り、自らが生きるのに必要な霊気を生成出来なくなると言う事ですから。
つまり、それぐらいに龍とは神聖な存在で有り、穢れに弱い存在で有ると言う事でも有ります。
穢れとは、気枯れるにも通じる、神格を持つ存在からは最も忌み嫌われる状態ですから。
相変わらず俺の腕の中に居る少女の整い過ぎた容貌を見つめる俺。
瞳のみで首肯く有希。ただ、矢張りこの体勢を変える心算がないのか、起き上がろうとする雰囲気を感じる事はない。
それならば仕方が有りませんかね。
そう考え、右腕に彼女の頭を置いたままで、左腕で彼女の身体を抱え、起き上がる俺。
その瞬間、彼女の柔らかい身体に自らの身体のより多くの部分が触れた事により、俺の鼓動が更に大きく成り、逆に二人の距離が完全にゼロ距離と成った事で、更に強く香るように成った彼女の香りが、少し俺の精神を落ち着かせた。
成るほど。どうやら、毎晩のように寝ている間に彼女を抱き寄せていたのは事実だと言う事らしい。
起きて居る間の記憶には存在して居ませんが、それでも、腕や身体が彼女の形を覚えて居り、
更に、嗅覚が彼女の香りを覚えて居ますから。
その上……。
その上、身体を動かした瞬間にも昨夜、目覚めた時に感じた強張りのような、違和感のようなモノを覚える事はなかったので、ダンダリオンの言うように俺の霊道の穢れが昨夜よりも更に浄化されたのは間違いないのでしょう。
羽根のように、……と言うのは言い過ぎですが、見た目通り軽い有希の身体を、割れ物を扱うような優しい扱いで抱き上げ、起き上がってから自らの目の前に座らせる。
そして、
「どうやら、色々と気を使わせたようやな。
ありがとう」
流石にゼロ距離では無くなりましたが、それでも膝と膝が触れ合う距離で有る事は間違いない場所に座る少女の瞳を見つめてから、俺はそう言った。
少しの空白。何故か、やや迷ったような気配を発した後に、それでも微かに首肯いて答えてくれる有希。
この迷いの時間は、もしかすると彼女は、俺を回復させなかった方が、俺が死地に赴く可能性が低かったのかも知れないと、この時に考えたのかも知れません。
しかし、それでも、それは今考えた結
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