第27話 龍の巫女
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、この状況は幸福な感覚に包まれる状況だと言う事なのですか?
そうして、更に発生した俺の疑問を他所に、有希が言葉を続ける。
抑揚のない彼女独特の口調、更に表情も普段の彼女が浮かべる透明な表情のまま。
「確かに最初の夜は驚いた。
しかし、あなたに抱き寄せられて、あなたの鼓動を近くに感じた時に不思議な感覚を覚えた」
但し、同時に彼女が発して居る気は陽の気。ここまで、幸福感に包まれた状態の彼女を感じた事は今までには有りませんでした。
それに……。
確かに、心臓の鼓動は人を落ち着かせる効果は有ります。
更に彼女の言うように、俺には寝ている最中に手近な物に抱き着く癖は確かに存在して居ます。
夜、寝る前には確かに被っていた布団が、翌朝には自らの腕の中に存在していた、などと言う事は日常茶飯事。大して珍しい出来事では有りませんから。
……と、言う事はつまり、
「俺は、毎晩のように有希を抱き枕代わりにして寝ていたと言う事なのか?」
恐る恐る問い掛けた俺の言葉に対して、小さく首を上下に動かして肯定する有希。
つまり、この答えの意味するトコロは、
「俺は、俺の式神たちの目の前で、毎晩のように有希を抱きしめて寝ていたと言う事ですか……」
思わず天井を見つめて、嘆息するようにそう呟く俺。
何故ならば、これは、式神使いとしての威厳もクソも無くなって仕舞ったと言う事ですから。
元々、お互いの友誼の元に交わされている俺の式神契約はそれ程拘束力の強い物では有りませんし、俺自身の人間としての成熟度が低い為に初めから式神たちから尊敬されている訳では有りませんが……。
それにしたって、ある程度の威厳……と言うか、説得力と言う物は必要だと思うのですが。
俺はそう考えながら、再び、その視線を天井から、自らの腕の中に居る少女へと移した。
何故、行き成り黙り込んで彼女の事を見つめ出したのか判らないのか、少しの疑問符を浮かべながらも、頑ななまでに現在の体勢を変えようとしない彼女が、少しマヌケな顔で彼女を見つめる俺の顔をその澄んだ瞳に映し出した。
人工生命体で有る以上、かなり整った顔立ちで有るのは当然。そして、就寝時で有る事から、現在、彼女の容貌を語る上での重要なパーツを装備していないので、視線も、そしてその表情も普段以上に柔らかく感じる。しかし、それでも尚、整い過ぎた容貌。体型に関して言うのなら、発展途上の少女を模した存在で有る点を差し引いたとしても、やや女性らしい体型とは言い難いけど、ある程度の未来は予感させる身体。
結論。現時点でも、彼女は非常に魅力的な少女で有る事は間違いない。
そんな相手を、毎晩のように抱き寄せて、その挙句、不埒な行いに及ぶと言うのなら男性としては何となく納
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