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駄目親父としっかり娘の珍道中
番外ネタ その1 苦労して得た物はどんな下らない物でも素晴らしい
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なのはの事などガン無視し、そう叫んでいる土方。相当恐ろしい光景なのだろう。回りを歩いている人達が気味悪がっている。

「ねぇ、土方さん!」
「あぁ? 何だ、万事屋のガキか」

 振り返れば其処になのはが居たので土方はそんな風に答えた。相変わらず愛想の欠片も感じられない。
 まぁ、この男にそれを求める事事態無駄なのだが。

「こんな所で何してるの?」
「見りゃ分かるだろうが」
「電柱に愛の告白?」
「何所をどう見たらそうなるんだああああああ!」

 何所をどう見たってそう思えてしまうのは世の理でもある。まぁ、他にも見方はあるだろうがこの場面ではそう見えたと言っておくしかないのだ。

「屯所が全域禁煙になっちまって、煙草が吸えなくなっちまったんだよ!」
「他の所で吸えば良いじゃない」
「それが駄目だったんだよ。路上、ファミレス、コンビニ、駅、その他諸々……全部禁煙禁煙……喫煙者にとっちゃ生き難い町になっちまったんだよ!」

 どうやら運の悪い事に今日は江戸全域で行う禁煙日だったようだ。そして、その時を同じくして屯所内で禁煙令が出されたもんだから土方は何所でも吸えなくなってしまったのだ。

「ふぅん、大変だねぇ」
「ものすっごい他人言だなぁ、その言い方」
「だって、他人だもん」
「良い性格してるよてめぇは」

 二人して路上を歩きながらの会話であった。土方は喫煙所を探しており、なのははその土方が持っている煙草を貰う為にである。

「ねぇ、煙草が吸えないんだったら煙草要らないでしょ? だったら頂戴」
「何でそう言う結論に行き着くんだ? ってかテメェ未成年だろうが! ガキが煙草吸おうってのか?」
「違うよ。キャサリンさんがお使いで買って来いって言って来たんだけど、最近煙草高いし、それにお釣りは全部くれるって言うから、それで一番安上がりで済みそうな土方さんに貰いに来たって訳」
「要するにたかりに来たって訳だな」

 冗談ではなかった。確かに今は吸えない状況だが、別に吸いたくないと言う訳ではない。
 喫煙所を見つけたら即座に一服と洒落込むつもりなのだ。それなのにその大事な時にこの煙草を渡してしまっては貴重なニコチン摂取が行えなくなってしまうのだ。
 渡す訳にはいかない。

「悪いがてめぇにやる煙草はねぇ。お子様はペロペロキャンディーでも食ってろ」
「子供扱いしないでよ。私はもう立派なレディーなんだから!」
「つり銭で目を光らせる時点でまだまだガキだよ……ん?」

 ふと、土方の視線が一点に止まった。其処に見えたのは何か。
 無数の人ごみの中に只一つ、燦然と輝くその凛々しき姿。
 四角い箱、天辺には鉄製の網。その箱の意味を示す札。隣にある自販機。
 間違いない。あれこそ、あれこそ土方が捜
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