番外ネタ その1 苦労して得た物はどんな下らない物でも素晴らしい
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おうとしたお登勢だが、何故か開いたその箱を再び閉じて、そのまま懐に仕舞いこんでしまった。
「どうしたの?」
「そんなご大層な一本を、此処で吸うには勿体無く思っちまってねぇ。とっておく事にするよ」
「ふぅん」
「何時か、あんたが大人になって、一人前になった時にでも、この一本を美味しく吸わせて貰うよ。こりゃその記念さね」
「気の遠い話だね」
子供には確かに気の遠い話だ。だが、それは子供だからこそそう感じる物。
大人はそうは感じない。
「子供と大人じゃ感じ方が違うのさ。私にとっちゃ、あんたが大人になるのなんざあっと言う間さね」
「そうなんだ。その時には美味しく吸ってね」
「あぁ、それよりそろそろ帰ってやんな。上の奴等心配してるだろうよ」
「うん!」
嬉しそうにカウンターから降りて、なのはは店を出て家路にと向った。
その光景を微笑ましく眺めるお登勢と客達でもあった。
「いやぁ、お登勢さんも立派な孝行娘を持ったねぇ。いや、娘じゃなくて孫娘ってとこかい?」
「一言余計だよ。でもま、そうかもね。私にとっちゃ、可愛い孫娘みたいなもんさね」
そう言いながら、お登勢は懐から本来持っていた煙草を咥えて火を点ける。
世界に一本しかない煙草は今もお登勢の懐に眠っている。なのはが大人になり、一人前になった暁には、その一本を吸おうと心に決めているのだ。
その時は、きっと今まで吸った事のない味を楽しめるだろう。そんな淡い気持ちを胸に抱きながら。
余談だが、キャサリンは自販機前に居たって事で警察にしょっぴかれてしまったのは言うまでもない事であったりする。
お後が宜しいようで。
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