第42話 生魚は醤油をつけて食べろ!
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り、もう全部お客様のところに行っちゃってますよ」
「え? うそおおおおおおおおおおおおおおおお!」
泣き叫ぶ長谷川。だが、時既に遅し。なのはとはやてが大量に生産した船盛りは既に客達の下へと送り届けられていた後であった。
***
テーブルの一角にて、その男は居た。彼はこの世の究極の料理を捜し求めている希代の美食家であった。それと同時に辛口評論家としても有名な人物であり、彼の【不味い】の一言で潰れた店は数知れずだ。逆に、彼が【美味い】と豪語した店は忽ち大繁盛する事で有名だ。
そんな彼が何故か此処に来ていたのである。
「むっ!」
その男が回転寿司のレーンの上に回っている物に目が行く。
「回転寿司の筈が、何故船盛りが!?」
疑問は募るが興味も沸く。そんな訳で男はその船盛りを手元に置いた。まずはその外観を見る。料理とはまず見た目が大事なのだ。幾ら良い食材を使って、最高の調理方法を用いたとしても、見た目がアレではそれだけで価値がグンと下がってしまうのだ。
「ふむ、刺身を切る際に無理に切ってはいないようだな。力任せに切ってしまってはそれだけで刺身を駄目にしてしまうからな。それにこのつまの数々。どれも手作りと来ている。大抵の店では買って済ますのが殆どだが、むむぅ……これは侮れんな」
流石の男も眉を吊り上げている。見た目だけでもかなりの高得点を得たようだ。そして、主室に刺身の一枚を醤油に付けて食べてみる。
「こ、これは! 魚本来の味が噛み締めるほどに滲み出てくる! それに金臭さが一切感じられん! 身も無理なく引かれた為に細胞の一つ一つが活き活きしており、噛んだ瞬間に弾けるように潰れる触感が溜まらん! こ、これ程の腕前に達するには最低でも30年は修行を積まねばならん筈? まさか、こんな場末の回転寿司にこれ程の腕前を持つ板前が居たのか? この料理は間違いない、これこそ職人、嫌、達人にも匹敵する程の腕前だ! 美味い、美味いぞおおおおおおおおおお!」
***
この一言をきっかけに、回転寿司に怒涛の勢いで客が押し寄せて来る結果となった。その光景に一同はただただ呆然とするだけなのであった。
「す、すげぇ……あの二人が作った回転寿司が此処まで影響するなんて」
「いける! 何はともあれ、これならいける! これで俺の立身出世間違い無しだ! もうすぐ脱マダオ達成できるぜ! 有り難うよぉお嬢ちゃん達ぃ!」
号泣しながら長谷川が叫ぶ。しかし、そんな長谷川の事などガン無視しながら、なのはとはやてはひたすらに船盛りを作り続けていた。今の二人にとってはこれを作る事だけが生き甲斐なのである。
「流石ははやてだぜ。お前んとこのなのはもやるなぁ」
「ったりめぇだろうが!
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