第42話 生魚は醤油をつけて食べろ!
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ぃや! 何ケチッとんねん! 回転寿司なんやから気前良く出さんかいぃ!」
銀時に続きはやてもまた怒り心頭となっていた。寿司を知っている者だからこその怒りなのだろう。そんな中、長谷川は鼻血と共に涙を流しながら震える声でこう言い放ってきた。
「じ、実は……俺、まだかっぱ巻きしか握れねぇんだ。俺、まだ寿司なんて握れねぇんだよぉ―――」
あんぐりと、開いた口が塞がらないとはこの事だったと、この時皆は語ったと言う。
***
「つまりあれかい? 店を任されたってのは真っ赤な嘘で、本当は従業員皆風邪で寝込んじまったから急遽バイトのあんたに任されたってのかいぃ?」
「身カラ出タ錆デスネ。嘘ツキハ泥棒ノ始マリッテ私ノ星デハソウ言イ伝エラレテマスヨ」
「おめぇも元々は泥棒だろうが」
とまぁ、そんな訳で長谷川が一人で店を切り盛りする羽目になったらしい。
「だが、かっぱ巻きしか握れないのであれば問題であろう? 何故貴様に店を任せたんだ?」
「握るって言ったって大概はこの寿司マシーンが勝手に握ってくれる筈なんだ。だけど、此処に来てうんともすんとも言ってくれなくて……」
ザフィーラの問いに長谷川が頭を垂れる。相当残念な思いなのだろう。その事実に誰もが溜息をついたのは言うまでもない。
「おいおい、それじゃ寿司はどうなんだよぉ? あたし腹減ってるのにさぁ」
「私もアル! 折角晩飯抜きにしてやってきたってのにこの様はどうネ! お前を簀巻きにして食ったろうかぁ!」
腹ペコなヴィータと神楽の目つきがかなりやばい。他でも空腹のせいか怒り心頭なやからが続出しそうだ。
「何とかしてくれよぉ銀さん。このままじゃ此処は【まるで駄目なお寿司屋】略して【マダオ】になっちまうよぉ!」
そう、今出て来た言語。これこそ長谷川泰造のあだ名である。通称マダオ。
簡単に言うと【まるで駄目な男】の略称である。ほかにも【まるで駄目な夫】とか【正しく駄目なおっさん】とか【全く堕落しきった親父】とかのバリエーションがあるが、どれも酷い罵倒文句である事に変わりはない。
「ま、要するにその寿司マシーンを修理出来ればえぇんやろ?」
「そうだけど、ってまさか、君が修理するの?」
「シャマル、頼むでぇ」
「えぇ!」
いきなりバトンを渡されて困惑するシャマル。何故自分に? と言った顔をしている。
「そうか、湖の騎士であるお前なら何とか出来るかも知れんな」
「頼むぜ、シャマル」
「期待しているぞ」
「何でそんなに皆期待しているの」
仲間の騎士達からの痛々しい期待の目に応えねばと、溜息混じりにシャマルが寿司マシーンに近づく。
が、ベルカ時代にからくりなんてある筈がないので、修理なんて出来る筈がない。ましてやこの江戸では大概の魔法は
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