本編 第一部
一章 「出会いはいつも唐突に」
第一話「不思議な少女」
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ふれた精神構造をしている。そう感じたのだ。俺は、見た目ヤンキーといわれても仕方ない姿をしているがこの金髪は生まれつきだ、しかしだからといってのっぽでやせっぽちにも見えるこの体は小学生の頃、知り合いのボクシングジムでものすごい鍛えられ方をしているので着やせしているがけっこうたくましい体をしている。それに鍛えられたのは体だけじゃない、毎日の地獄のような特訓とスパーリングでたいていのやつなら一目みればそいつがどういうやつか分かる。その勘が言っている。こいつはたぶんどんな冗談でからかわれてもこっちが引け目をみるくらいからっとしているんじゃないか。
「ああ、冗談つーのはな、ここは男子用の脱衣所なんだ。女子はとなりだ」
おお、いまさらっと恐ろしいことを言ったがここでふつうの女子なら凍りつくが・・・・・・。
彼女はというと、ああそういうことかというような驚きの目をしたあと、大きな声で笑い出した。
「あはは、おまえはほんとうに結構な不良だよ。相手が私だと知りながらそんな冗談をつくとは、おまえ、これがほかの女子だったら殺されるか、一生恨まれてるぞ、はっはっは!」
「ほんとうに・・・・・・」
「ん?どうした。あ、そういえばわたしは全裸のままだな、これは女としてはあまりよくないか?でどうだわたしの裸はけっこうくるか?なあ、なあ」
ほんとうにからっとしている。女性としての羞恥心がまるでない。
「なあ、どうしたんだ。だまってんなよ。それとも私の裸に見とれてんのか」
人というものは起こると予測していた反発がおきないと不思議とこちらも過剰な反応をしないでいられるらしい。今自分のまえには学校一の美女が全裸で立っている、腰の肉付きすらりとS字に伸びる背、ちょうどいい大きさの胸、だがそれらは本当に魅力的だが不思議と平然としていられてる。で、つい本音がでる。
「ああ、けっこう、ていうかおまえすごいいい体してるな。ものすごいぐっと来るぜ。さっきいた男子なんかにはもったいないくらいだ」
「ば、ばかやろう、そういうことを女の私にするなよな。ふつうの女なら一生おまえの前に出られなくなると思うぞ」
「はは、ほんとうそうだな。なんかおれのほうがからかわれてるみてえだよ」
「気に入った。おまえ、名前は?」
「ああ、藤沢賢治だ。賢く治めるって書いてケンジだ」
「賢治か、いい名前だ。私は豊村伊佐。イサっていうのは父の好きな物語に出てくる聖人の名らしい。もっとも聖人ていうくらいだから、たいてい聖人として選ばれるのは男だけどな」
そして、恥ずかしげもなくそのまま、学校指定の水着を着ると、脱衣所の出口から出て行った。そのとき、振り返りざまにちょっとおどけてこう言った。
「おまえ、面白い奴だからこれからもよろしくな、それとあの時はサンキュな、残りの男子に切れたの、私のためだろう?
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