崑崙の章
第11話 「お土産?」
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しか見つけられなかったけどね」
「十三!? そんなにいろいろなものが入っているのですか?」
「まあ、そのほかにじゃがいも、人参、玉ねぎに鶏肉を入れてあるけどね。本当は牛乳があればよかったのだけど、流通はしていないみたいで……」
「なんと……これは宮廷料理か!?」
桔梗が言うのも無理はない。
材料にそんなにも大量のものを使う料理など、天子様が食べる宮廷料理ぐらいでなければ思いもつかない。
「うーん……まあ、伝来したイギリスじゃ王宮料理として出していた時期もあったらしいけど……基本的には俺なんかだと野戦食なんだよね、これ」
「やせん……糧食だというのか、これが!?」
「そ。材料は基本的に日持ちするものが多いからね。それでいて健康にもよく、美味しい。食料がないときに臭くて食べられない蛇なんかの匂い消しにもつかえるね」
「……なんと」
「まあ、それ以上にこの辺の気候は四季がはっきりしていて高温多湿。日本みたいな気候だからね。夏だと三十度越えることも多いだろ? 糧食の腐敗や食中毒の被害も多いはずだ。だからこそ麻婆やカレーなどの食事はそれを救うだろうね」
???
糧食が腐るのはわかりますけど……しょくちゅうどくってなんでしょう?
「北郷……それは本当か?」
「さすが華佗、喰い付いたね。本当だよ。麻婆で使われる花椒は、精神安定、消炎鎮痛、血圧を下げ、消化を助ける効果もある。大量に使えば一時的に麻酔の効果もあるみたいだね。そしてカレーはそれ自体が整腸剤みたいなものだ。使いすぎると問題あるけどね」
「なるほど……確かにここより南部での水や食べ物による被害は多いな。かれい……いや、カレーか。ふむ……」
「何度も言うけど食べ過ぎちゃだめだぜ? 特に香辛料は、取りすぎると逆に悪化する。薬と毒は表裏一体……華佗ならわかるだろ」
「うむ。確かにな……すまん、北郷。このカレーという料理の調合と、すぱいすとかいうの、後で教えてくれるか?」
「もちろん。それも目的の一つで出したからな」
……よくはわかりませんけど、このかれい……いえ、カレーというのがすごいものだというのはわかりました。
「ちなみに入っている材料もすごいんだぜ。まず、この人参。こいつは……」
「それは胡蘿蔔だな?」
「ああ……そか、華佗なら知っているか。こいつは朝鮮人蔘とも呼ばれるものでな、普通の人参ではなく、オタネニンジン……血流を良くして、滋養強壮にも効果がある。玉ねぎは表皮を乾燥させれば数ヶ月は保存が利く。おまけに大抵の料理には応用が利く優れもの。犬や猫に喰わせるとひっくり返るけどな……そして最大の発見物はこのじゃがいもだ!」
そう言って出したものは、わたくしに渡したあの石ころのような丸い塊。
土豆でした。
「こいつ
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