崑崙の章
第11話 「お土産?」
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ど……これはちょっと躊躇う色ですわね。
「おにーちゃん。これ、どうやって食べるの?」
「あ。そうか、スプーンは……いや、レンゲでいいか。それで食べて」
「はーい」
璃々が物怖じもせずに、レンゲでかれいを掬って口の中へ……
「あむあむ……」
璃々が食べる様を、わたくしも桔梗も、そして魏延さんも見守る。
と――
「んー? これ、たべたことないあじだー」
「うん。たぶんそうかもね。で、美味しくない?」
「ううん。ちょっとからいけど、 おいしーとおもうよ?」
そう言って二口目を食べる璃々。
……はっ。
わたくしとしたことが……あまりに唖然として娘に毒見させるなんて。
「わ、わたくしもいただきますわ」
そう言って、レンゲで黄色くとろみのついたあんかけをご飯と一緒に掬う。
「………………」
だ、だいじょうぶ。
璃々が美味しいと言うのですもの、これは食べられる……はず。
「はむ!」
一口食べると――
「!? か、からっ!?」
今まで感じたことのない辛味が口の中一杯に……一杯に……
「……あ、あら? 辛いけど……美味しい?」
かーっとくる辛味だが、ジンジンくる花椒とは違う。
香ばしい匂いが食欲をそそり、辛味が汗を噴出させる。
だけどこれは……美味しい。
「辛いけど……いろんな味が奥底にあって……それがまた辛さと実にあっていて……これは、美味しいですわ!」
「…………どれ、わしも」
桔梗も恐る恐る口に運び――
「むお!? 辛いっ!? 辛い、が……おお、うまい」
「ま、真ですか、桔梗様!?」
桔梗の言葉に信じられないような顔をする魏延さん。
確かにこれは、色としてはとんでもないですけど……すごくおいしいですわ。
「……不思議ですわね。なんだか食べるごとに食欲が増すというか……汗が出るのですが、それが心地いいなんて」
「当然だな。これは薬膳料理だからな……おかわりをくれ」
あら。
すっかり忘れていましたけど、いたのですのね、華佗さん。
「いつの間に喰ってたんだ、華佗。まあいいけど……よくわかったな、これが薬膳だって」
「俺は医師だぞ? 口にしてみればどんなものか大体わかる。しかし美味いな、これは」
そう言って、よそってもらったおかわりを勢いよく食べる華佗さん。
「薬膳……薬なのですか?」
「ああ。これに使われているスパイスというのは、基本薬なんだよ。発汗をうながすものと、胃と内臓をよくする薬がほとんどでね。まあ、基本のガラム・マラサとターメリック、唐辛子にショウガ、ニンニクに胡椒、カルダモンやクミンなんかも入っている。およそスパイスと呼べるものは、結局十三種類
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