崑崙の章
第11話 「お土産?」
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とても肥溜めとは思えない。
「この料理の名前はカレーと言うんだ」
「かれえ?」
「ええ、ここより南西にあるインドって国があってね。今だとクシャーナが滅びるかどうかだったかな? そこで生まれる料理だよ」
「いんど? 南というと、南蛮のことかの?」
「ええと……いや、それは東南アジアで、それより西の……ああ! そうそう、天竺、天竺だ。これ、天竺の料理です」
天竺……?
遥か西にあるとすれば、崑崙とその先にある身毒の国。
そこのことかしら?
「あれ? 天竺って知らない?」
「知らぬ。西にあるのは崑崙、その先には身毒という国じゃ。天竺とはどこじゃ?」
「ええと……あー……たぶん、その身毒ってところかな? 天竺って言われだすのは七世紀ぐらいだったかも……」
そんな遠くの国の料理ですって?
確かに一部の商人は遥か西の未開の地を通って羅馬まで行こうとする人すらいますけど……
「と、とにかく、これはれっきとした料理です。これを……」
盾二様が、更に白米を盛り、それに『かれえ』をかける。
それを一人一人の前に、置いていく。
「ええと、この料理ですけど、辛いです。まずそれを理解してくださいね」
「辛い……麻婆みたいにか?」
「えっと……ああいう辛さじゃないかな。あれは山椒……花椒の辛さと唐辛子の辛さだけどね。これはスパイスの辛さだよ」
「すぱいす?」
「まあ、食べてみればわかるかと……ああ、璃々ちゃんには辛すぎるから、蜂蜜を入れた甘辛いの作ったからね」
そう言って、別の鍋から白米にかけていく。
とはいえ、この子は麻婆も食べられるから、辛いのでも平気なのですけど。
「はい、ええと……君の名前は?」
盾二様は、魏延さんの前に『かれえ』を置こうとする。
「ふん! 貴様などに名乗る名前などない!」
「それ、俺が賊に言ったセリフ……使われるとムカッとくるな、これ」
「すまんの、盾二。そやつは魏延。わしの弟子じゃ」
「ああ……あの話の」
桔梗の独白を聞いていたわたくし達ですものね。
なしくずしに紹介してしまいましたけど……印象は最悪かしら。
「とにかく、騙されたと思って食べてみてくれよ」
「なにぃ!? 騙す気なのか!?」
「た、たとえだよ、例え! 素でそういうこと言う人、初めて見たわ!」
今にも掴みかかろうとする魏延さん。
この子……ものすごく直情な子なのね。
桔梗が頭を抱えるのがよくわかるわ。
「と、ともかく……一口どうぞ。文句はそれから聞きますから」
「断わる! ワタシはそんなものを食べる気はしない!」
「………………まあ、無理に、とは言いませんがね。桔梗と紫苑はどうする?」
盾二様はそう言うけ
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