第76話
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上条は安堵して、近くにいるであろう土御門を呼ぶ。
「土御門、こっちだ!
七本目のポール籠に・・・・」
叫びかけた所で、ふと上条の台詞が中断される。
七本目のポール籠の支柱にセロハンテープで張り付けられている厚紙を見たからだ。
そこには「野義中学校備品」と書かれているだけだった。
土御門は、このポール籠はよそからの借り物ではないか、と言っていた。
これは紛失しないようにするための、名札のようなものなのだ。
(違った!?
じゃあ本物の「速記原典」はどこに!?)
上条は慌てて周囲を見回す。
その時、ピッ!と笛の音が響き渡った。
校内放送のスピーカーから、それまで流れていた競技用の行進曲がピタリと止まる。
「まったく、上条当麻。
貴様は此処で何をしているの?
まぁ、とりあえず訳は後で聞くとして、今は大人しく向こうへ行ってなさい。
この分だと、麻生も一緒にいるみたいだし、そいつも連れて行くこと。」
運営委員の吹寄制理が、怪訝そうな顔でこちらを見ている。
「聞こえていない?
これ以上あたしにカルシウムを食べさせる気?」
彼女はそう言って右手を近くにある八本目のポール籠を掴もうとする。
そして、上条は見てしまった。
その八本目のポール籠に一枚の厚紙が張り付けてある事を。
上条は、七本目のポールと同じく、単なる名札のようなものだと信じたかったが
そこには青い文字で、何かの英文が筆記体で書かれているように見えた。
「吹よ」
上条は咄嗟に制理の名前を叫ぼうとした。
だが、それよりも早く彼女の手がその厚紙に触れそうになった。
最悪の事態を思い浮かべた時だった。
制理の右手の手首を後ろから掴んで、厚紙に触れる直前で停止させた。
制理は怪訝そうな顔をしながら後ろを振り向くと、そこには麻生が立っていた。
「やっぱり、貴様も此処にいたのね。
というより、どうしてあたしの手首を掴んでいるの?」
制理の問いかけに麻生は自分より後方の方を指さす。
制理はその方へ視線を向けると、何人かの同じ運営委員がこちらに駆け寄ってくるのが見えた。
「お前は俺達の相手をしているより、この事態を何とかする方が良くないか?」
「うっ・・・・そんなの分かっているわよ!!
元はと言えば、貴様らが此処にいるのが悪いんでしょうが!!
とりあえず、貴様らは向こうに行っている事!!
後で、理由とか聞かせてもらうわよ!!」
「分かったから、さっさと行け。」
言われなくても分かっているわよ!!、と終始怒りながらも他の運営委員の所まで走って行く。
麻生は八本目に張り付いている「速記原典」を手に取る。
パキン、という軽く何かが砕け
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