第76話
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麻生が常盤台の生徒達を相手にしている時、上条と土御門は死ぬ気で校庭の中央にある、ポール籠の根元まで辿り着いた。
「よーしカミやん。
オレはこれからポール籠を順番に調べてくる。」
「俺はなんか手伝える事とかないのかよ?」
「あったらとっくに押し付けてるぜい。
良いから待機しててくれにゃー。
「速記原典」を見つけてからがカミやんの出番ですたい。」
周りに聞こえないように打ち合わせをする。
その間どうしよう?、と上条は思う。
とりあえずカムフラージュの為に地面に落ちていた白組の玉を拾うが、競技に参加してしまうと、もぐりの自分が結果を変えてしまいそうで、いまいち乗り気にならない。
土御門は籠を支える金属製のポールの下で、わざと玉を籠に入れない軌道でポンポン投げつつ、その表面を下から上へと丹念に観察している。
ポールの高さは三メートルにも達する。
首を巡らせて一本調べるだけでも大変だ。
土御門は元々オリアナが使っていた単語帳のページの有無はもちろん、ポールを支柱に変な文字が刻まれていないか、地面の金属スタンド部分に妙なマークが描かれてないかなど、様々な角度から調べているらしい。
「土御門。」
「外れだカミやん、これじゃない。」
彼は首を横に振ると、地面から白組の玉を回収しつつ、次のポールへ向かう。
隣にある二本目、三本目のポール籠も調べていくが、結果は芳しくないらしい。
それを見ている上条は、時間だけがじりじりと経過していくような錯覚を感じる。
残りは七本。
上条も土御門の後に続こうとした所で、横合いから、キラッ、と白い閃光が弾けた。
「うわっ!?」
慌てて右手をかざすと同時に、丸い光の砲弾が真っ直ぐ飛んできた。
それは上条の右手に触れると同時、バシン!!、と軽い音を立てて吹き飛ばされる。
少し離れた所に、常盤台中学の少女がポカンと口を開けているのが見えたが、上条は相手をしない。
下手に注目される訳にはいかないのだ。
なので、隣でビビッて動けなくなっている男子生徒を肘でつついて適当に褒め、コイツのおかげという事にする。
「カミやん、四本目も違う、次だ。」
ムキになった常盤台中学の少女がその男子生徒を集中砲火しているのを尻目に、土御門と上条は五本目のポールへ向かう。
と、目の前で人の壁が揺らいだ。
上部の籠だけを見て玉を投げていた男子生徒の一団が、後方から押されて将棋倒しを起こしたのだ。
彼らは一つの塊となって、五本目のポール籠に激突した。
ゴン!という金属音と共に、ポール籠が振動する。
もしもオリアナが五本目のポール籠に、迎撃術式「速記原典」が仕掛けられていたら、間違いなく犠牲が増える。
魔術に耐性のない人間なら、死
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