第三十五話 厳島神社その六
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「柑橘類全般がだけれどね」
「宇野先輩はそちらなんですね」
「瀬戸内は柑橘類よ」
広島もそこは愛媛と同じだというのだ、宇野先輩は琴乃に熱く語る。
「あれを食べてるとビタミンも豊富だから」
「だからですね」
「そう、身体にもいいのよ」
こう言うのである。
「あの甘酸っぱさもいいじゃない」
「何か隣同士の県でも本当に違いますね」
「そういうものよ、兵庫と大阪でもかなり違うでしょ」
五人がいるその県の話も出る。
「関西は府県によってそれぞれ全然違うでしょ」
「確かに。お隣同士でも」
これは関西だけではない、どの地方でもだ。
「実際にですね」
「そういうことよ、だから広島と岡山もね」
隣同士でも違うというのだ。
「神様もよ。岡山に桃太郎あれば広島には厳島大明神ありよ」
「桃太郎って神様にもなってますからね」
景子が応える、桃太郎はその基になっている鬼を倒したという武人が神社に祀られているのだ。鬼もその霊を慰める為に祀られている。
「だからですね」
「そう、まあ今からその厳島神社に行くけれど」
それでだというのだ。
「神聖な場所だからね」
「心も清めて」
「それで行きましょう」
最後は笑顔で言う先輩だった、そしてだった。
一行はその厳島神社に入った、海から浮かび上がるその神社はこの世にあるとは思えなかった、その木の舞台もだ。
琴乃は海にあった頃の名残が残っている白い床と青い海、そして後ろの緑の山達を見てだ、景子に不思議そうに言った。
「ちょっとね」
「他にない神社よね」
「うん、海の中から出て来る神社って」
「普通はないからね」
「そうした意味でも凄い神社よね」
「そうよね。見て」
景子の方から琴乃に言う、その視線の先には狛犬達がいる。
「この狛犬もね」
「その子達も」
「そう、他の神社の狛犬とはまた違う感じでしょ」
「普通狛犬って神社の入口にあるけれど」
厳島神社は違っている、神社の中にあってそれで左右に並んでいるのだ。
やはり海から浮かび上がって来た様だ、彼女はそれを見てそのうえで景子に対してこう言うのだった。
「ここは違ってしかも」
「しかも?」
「海から出て来て、海の守護神みたいね」
やはり普通の狛犬とは違ってだというのだ。
「普通の狛犬って神社が木の中にあるから」
「山の守護神みたいな感じがするわよね」
「それか林かね。景子ちゃんのお家もじゃない」
「そうね、私の家もね」
「林の中にあるわよね」
「木への信仰があるから」
霊木である、神道はシャーマニズム的色彩が濃くそれで木への信仰もあるのだ。
「だからね」
「そうよね、この神社も後ろに山があるけれど」
厳島の山である、実に緑が豊かな山々だ。
「それでもね」
「
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