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万華鏡
第三十五話 厳島神社その四

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「私は源氏系でも義経だからね」
「平家派じゃなくてもですか」
「頼朝嫌いなんですね」
「あいつ好きな人いないでしょ」
 実は古来より源頼朝はかなりの不人気を誇っている、その不人気さは日本でも屈指と言っていい程である。
「実際」
「そういえばそうですね」
「嫌な奴だから」
 とにかく歴史的な評判はよくない。
「だからね」
「ううん、どのゲームや漫画でもですからね」
「私も嫌いだし」
 高見先輩はまた言った。
「子供の頃から義経さん好きだし」
「けれど先輩岡山ですよね」
「ええ、そうよ」
「岡山だと特に義経さん関係ないですよね」
「個人的な好みよ、後ね」
「後は?」
「私の好きな戦国大名も地元なのよ」
 この先輩もそうだというのだ。
「赤松氏とかね」
「赤松氏ですか」
「そうなの、とはいっても皆知らないし」
 高見先輩はここで宇野先輩を見た、ちらりと見てからの言葉だった。
「まして赤松氏とかってすぐに毛利家にやられるから」
「まあそれはね」
 宇野先輩も今はバツの悪い顔になって高見先輩の言葉に応えた、この辺りはどうしても微妙なものが出来ている。
「尼子と大内を破ったらね」
「次はこっちよね」
「赤松とか浦上とかね」
 そうした家を攻めるというのだ、ゲームの中で。
「あとは山名ね」
「ほら、赤松攻めるじゃない」
「だって仕方ないでしょ、天下統一の為には」
 攻めなくてはならないというのだ、ゲームの中とはいえ辛いことだ。
「潤ちゃんだって岡山から強くなるでしょ」
「まあそうしないと天下統一出来ないからね」
「その時は毛利をやっつけるでしょ」
「それはね」
 その通りだというのだ、高見先輩にしても。
「毛利家を倒したら一気に中国支配になるから」
「お互い様じゃない」
「けれど、最初の差がね」
 それが問題だというのだ。
「織田家と赤松家とかじゃ全然違うから」
「宇喜多家でもよね」
「宇喜多家もね」 
 中国地方の雄毛利家と比べるとどうしてもだというのだ。
「岡山はその辺り辛いわね、桃太郎いるのに」
「電鉄のシリーズだと破格の扱いだったじゃない」
「桃太郎だからね」
 これはそうなるしかないというのだ、何しろ桃太郎というからには岡山を大事にしないとどうしようもないからだ。
「そこはね」
「それに桃太郎はもう戦国大名以上でしょ」
 それだけ有名だというのだ。
「もう日本のヒーローじゃない」
「鬼退治でね」
「それで岡山って今も桃があるじゃない」
「名産よ」
 実際にそうだというのだ。
「桃にマスカットにね」
「あとママカリよね」
「それと黍団子もね」
 これも忘れてはならなかった、岡山といえば。
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