第75話
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今度はポールと籠を調べてくれないかにゃー?」
「状況が状況だ。
回復したら調べてやるよ。」
どうせ、すぐに終わるだろうと思い麻生は能力で疲労を回復させずに、自然治癒で充分だろうと思った。
麻生が答えると同時に校内放送のスピーカーのスイッチが入る。
位置について、という声が聞こえる。
校庭の端の方にある、運営委員用のテントの中で、吹寄制理はマイクを握っていた。
「位置について」
喉の声とスピーカーの声が重なる。
運営委員の仕事は、負傷者の回収から競技開始・終了の合図にまで多岐にわたる。
実況のようなものはテレビ局の仮説スタジオなどでも行われるが、合図だけは運営委員が仕切る事になっていた。
その他に面倒なのは、玉入れの籠に入った玉の数を数える仕事だ。
これだけの人数が戦うとなると、使用される玉の量も半端ではない。
玉入れに予定されている時間も、三分の一が「カウント時間」に当たる。
「用意」
制理は合図の開始だけ。
後の合図は他の運営委員の仕事だ。
彼女はこれが終わったら、玉を数える作業の方に移らなければならない。
面倒だ、と思うが、それとは別に、制理は心の中で首を傾げる。
(あの集団の中に誰かいたような気がするんだけど。
でも、あんな白髪は他にはいないし・・・・もしかして、本当に?
疲労かな?
とりあえず、確認は後でしないと。)
疑問を胸に抱えたまま、彼女は告げる。
「始め!!」
ピーッ!!と笛の音と共に玉入れの競技が始まる。
校内放送のスピーカーが、運動会で良く使われるような行進曲が流れ始める。
テンポの軽い音楽を完全に無視する形で、二つの学校の生徒達が、左右から一斉に中央へ向かう。
行き先は横一列に並んだ、高さ三メートルほどのポールと籠だが。
「お前ら、伏せろ。」
「へ?」
麻生の突然の言葉に土御門は素早く反応して地面に伏せる。
だが、上条は声を出すだけで、突っ立ているだけだ。
すると、後ろから足を払われ前に倒れてしまう。
上条は麻生に何がどうなっているのか聞こうと、前を見た時だった。
赤や青や黄色の色とりどりの閃光が三人に向かって飛んできていた。
麻生は左手を閃光に向かって突き出す。
飛んできた閃光は麻生達の目の前で何かにぶつかり、衝撃波を撒き散らすが麻生が何かしら能力で壁を作ったのか、衝撃波が麻生達を避けていくように広がっていく。
そのせいか、麻生達の周りの地面がごっそりと抉られていた。
上条はゾッとした。
もし、この場に麻生が居なければ色とりどりの閃光に被弾して吹き飛んでいたに違いない。
他の生徒達も閃光にぶつかり、吹き飛んでいるのだが防護系の能力のおかげで怪我はない。
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