七章 『氷の学び舎』
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か?」
ダンテをここに連れてきた理由。それは伝説の血を引くだけではなく、魔帝と対峙することができ、封印を施した実力を持っているからだろう。アルはそう考えていた。
「……」
今度は、否定も肯定もしなかった。ザジはじっとアルを見つめている。それに構わずアルは続ける。
「彼は過去に、二千年の時を経て復活を果たした魔帝を再封印しました。ですが此度、魔帝がまたもや復活を果たした……まぁそれ自体は貴女の言うとおり造物主の仕業でしょう」
さらにアルはダンテやムンドゥスの事に触れ、背後に造物主の存在があると言っていたザジの言葉に同意する。
「魔帝ムンドゥスの復活と、魔剣士の御子息を連れてきた事。それを鑑みれば、自ずと答えは出てきます」
話のさなかにも、悪魔は次々と二人に襲い掛かってくる。だがザジとアルの二人は、魔法や爪を使い悪魔の攻勢を退ける。
「貴女の目的。それは魔帝の打倒、と言ったところでしょうか?」
ザジは魔帝の復活のことを“厄介な事”と表現していた。さらにダンテを呼んだ事を考えれば、そう結論付けることができるだろう。
「あなたの言う通りですよ。私の望みは、かの魔帝を完全に討つこと。その魔帝の復活をいち早く察知したので、伝説の魔剣士の子息であり、自身もかつて魔帝を封じた彼に一報を入れたのです」
「しかしそれは貴女の、いえ、貴女方の真の目的ではない。違いますか?」
ザジの答えは、沈黙だった。
「魔帝の打倒。それ自体は目的の一つでしょう。ですが貴女方には更に真の目的があるのでしょう。もっとも、真の目的そのものについては残念ながら推測の域を出ません。ですが貴女方の計画には、伝説の魔剣士の御子息と――ネギ君。彼ら二人が要となっている」
アルが言っている内容は、推論と、判明している事実を繋ぎ合わせてそれらしく取り繕ったものだ。核心に迫ることは言ってはいない。ダンテがザジの計画の要所であろうことは、わざわざ彼を呼んだ事から明白である。だが、そこにネギも同様ではないか? とカマをかけたのだ。
ネギを引き合いに出したのは、全くのデタラメという訳ではない。それなりに理由がある。
母親であるアリカ・アナルキア・エンテオフュシアはウェペルタティア王国の最後の王女であり、『始まりの魔法使い』の末裔である。つまりネギも『始まりの魔法使い』の末裔であり、その血を引いているのだ。そして父親は言わずもがな、世界を救った英雄である。
つまり彼はその身に命を宿したときから、大きすぎるほどの因果を背に負っているのだ。それもダンテと比較しても、何ら遜色のないほどに。
ザジは未だ、沈黙を続けている。無表情の中にある紅い瞳は、ただアルを見つめている。
「我々の計画について、まだお話することは出来ま
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