七章 『氷の学び舎』
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るだけにすぎず、大した結論は出てこなかった。
「……少しばかり情報が不足していますね」
そう呟いたゲーデルは、上空を見上げ続けて言った。
「何か情報を引き出してくれるとありがたいんですがね」
その視線の先には、リヴァイアサンと対峙するザジと、空を舞う下級悪魔を掃討しているアルの姿があった。
アルは魔法の射手や重力魔法を容赦なく悪魔に放ち、次々に撃ち落していた。しかしその活躍とは裏腹に、切っ掛けを見計らっていた。
アルはエヴァンジェリンから、ザジ・レイニーデイの目的を探るように頼まれた。自身もザジの目的やザジ本人に対する疑念は持っていた事もあり、アルは快諾したわけである。
(さて、どのようにアプローチをしましょうか?)
「貴女の目的はなんですか?」とストレートに聞くことは難しい。勿論その様な誘導も可能だが、上手く聞き出せる公算は低い。
さらに、上手く誘導し交渉するにしてもザジ・レイニーデイやその他情報が少ないのが現状だ。誘導尋問のような事も難しいだろう。
また、大量の悪魔を捌きながら情報を引き出さなければならないのだ。なかなかに無茶な仕事である。
「もっとも、まだ早そうですね」
さり気なくザジへと視線を移した。視線の先にいるサジは、未だリヴァイアサンと対峙を続けている。
彼女はリヴァイアサンの周りを飛び回り、幾度となく攻撃を仕掛けている。それは、普段のザジからは考えられないほどに激しい攻撃だ。
しかし、リヴァイアサン規格外の図体を誇る悪魔だ。魔族の力を現したとは言えザジは余りにも小さい。矮小な蟻に噛まれた象の如く、リヴァイアサンは悠々と宮殿の空を泳いでいる。
(まずはあの魔族を片付けるべき。ならここは……手助けしましょうか)
アルが始動キーを唱えようとした時だった。虚空瞬動によって、ザジがアルの隣に現れた。
「お手を煩わせずとも大丈夫です」
長く鋭利な爪を戻したザジが、アルへ話しかけてきた。
「もう少しすれば、リヴァイアサンは沈黙するでしょう」
そうは言うが、リヴァイアサンには特に変化は見られない。一体どのような方法かは気にはなるところだが、わざわざザジの方から話しかけてきたのだ。好機だとアルは判断した。
「そうですか、ご苦労さまです。それではそれまでの間、少しお話をしても?」
「構いませんよ」
ザジの了承を得て、アルは手始めにある事を聞いた。
「確か、ダンテ氏をお呼びしたのは貴女でしたね?」
今一度、ダンテに対して依頼を出し麻帆良学園へ呼んだ張本人が、ザジであることを確認する。これはザジ自身が、エヴァンジェリンに問われた際に答えたものだ。
「その通りです」
「それは彼が、伝説の魔剣士の御子息だからです
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