兄妹喧嘩〜
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『逃げる訳にはいかないんだろ?』
「でも、もう・・・」
『考えんな。何度も言ってんだろ?ドツボにハマるんだから、考えるなって。お前には言葉じゃなくてもまっすぐぶつけられるもんがあるだろ?』
「それは・・・」
『当たって砕けろよ。そっちの方が気持ちは伝わるぜ』
「・・・砕けちゃ、駄目だろ」
『はは、そうだな。・・・んじゃ、よろしく』
「・・・ああ」
俺は立ち上がり、部屋のドアを叩く。
「直葉、咲から電話が来てる」
「・・・話したくない」
「いいから出ろ。・・・待たせてんだからさ」
・・・しばらく間があってからドアが開いた、直葉は俯きながら、手を出してくる。俺は携帯を手渡しながら言う。
「直葉、電話が終わってからでいいから・・・“向こう”で、待ってる」
向こう、という言葉を理解したのか直葉はぴくん、と反応する。そして俺は自分の部屋に向かう。
「じゃあ、先に話をつけてくるよ、兄貴」
「ああ、俺もすぐに行く」
部屋に入ってナーヴギアを被り・・・
「リンク・スタート!」
次に目を開いた時にはケットシーのコウハになっていた。
「亮さん」
「ん・・・ああ」
亞莎と詠がいた。・・・と?
「詠?頬を擦ってどうしたんだ?」
「え?・・・別に、ちょっとした戦闘しただけよ」
「ふーん・・・」
「あの、リーファさんは・・・」
「・・・まだ解決はしてないよ。これから・・・」
背後から・・・リーファがやって来た。
「・・・話をするんだ。亞莎、詠。ここで待っていて」
「・・・分かりました」
俺はリーファを見る。視線を逸らさないように・・・まっすぐに。
「場所、変えよっか」
「・・・」
俺達は飛び、ちょっとした通路みたいなところに移動する。
「うん、ここなら誰も来ないか」
俺は大きく息を吸う。
「・・・百本勝負、覚えてる?」
「え・・・」
「確かお互い同点で、後一戦残ってたよね」
「そ、そうだけど・・・」
俺は武器を外し、迷切を構える。
(迷いを切る・・・か。今の俺にはピッタリな武器だよ)
「リーファ・・・ごめん。確かに目が見えなくなったことには多少意識してた。けど、それは恨みとかじゃない・・・って言っても信じてくれないよな」
「・・・」
「言葉じゃきっとお前は納得しないよね。だから・・・剣で示す。剣の道を歩んだお前だったら・・・きっと理解できる筈だ」
「亮、お兄ちゃん・・・」
「俺は逃げない。俺はお前とまっすぐ向き合う。だから・・・お前も全力で来い。最初で最後の・・・本気の兄妹喧嘩だ」
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