兄妹喧嘩〜
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線を上げる。・・・あ。
「・・・」
「ーーーーー」
直葉の顔は・・・あの時と・・・俺が目を潰してしまった時と同じ顔をしていた。そして気付いた。また俺は・・・直葉から目を逸らしていたことに。
「う・・・あ・・・」
言葉が出ない。周りの景色や、音が、遠ざかっていく。・・・気付くチャンスは、あったんだ。直葉の・・・リーファの異変に気付くチャンスなんて幾らでもあった筈なんだ。だけど俺はそれをあえて気にしなかった。また、崩れてしまうのが怖かったから。その行動がひび割れを大きくしていき・・・今、とてつもないほど・・・直すのが困難な程に崩れてしまった。直葉が何かを和人に言うが・・・俺の耳には届かない。
「・・・もう、放っておいて」
直葉はその言葉を最後に・・・ドアを閉じた。俺はそのままよろめき、壁にぶつかって座り込んでしまう。
「亮・・・」
多分、和人も同じ風に座り込もうとしたのだろう。だが先に俺が崩れたから・・・和人は崩れなかった。
「・・・最悪な・・・兄だ、俺は」
「亮・・・違う、お前は・・・」
「普通・・・兄は妹を守らなきゃいけないのに・・・笑顔にしなきゃいけないのに・・・それなのに・・・!」
俺は和人を見る。ふと、涙が零れた。
「俺はまた、直葉から笑顔を奪ったんだ・・・!それだけじゃない、俺は、俺はサチも・・・」
「亮!」
「・・・!」
「お前だけのせいじゃない。俺だって同じなんだ。直葉があんな風に俺を思っていてくれたのに、俺は無神経に何度もアスナの話を出した。・・・笑顔を奪ったのは、お前じゃない・・・」
「・・・だけど・・・」
自分を許せなかった。
「何が・・・みんなを助けるだ・・・妹の笑顔すら守れないで・・・!」
〜〜〜〜♪
「・・・亮、お前の携帯じゃないか・・・?」
「・・・」
出たくなかった。俺にかけてくるのは今は綾野さんか咲しかないからだ。どっちにも・・・今の俺を隠せそうになかった。すると和人が取ってきたのか、携帯を渡してきた。
「・・・」
表示された番号は・・・咲のものだ。
「出ろよ。きっと心配してるだろうから・・・」
「・・・」
俺はゆっくり携帯を耳に当てる。
「・・・」
『もしもし?亮、聞こえるか?』
「・・・ああ」
『・・・一波乱、あったみたいだな』
「・・・」
『解りきってたさ。物語に波乱は付き物だからな・・・リーファは?』
「・・・部屋で・・・泣いてる」
『わかった。じゃあ・・・“わたし”に話をさせてくれない?』
「え・・・?」
『女同士なら吐き出せるかもしれないし・・・それに』
「・・・」
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