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私立アインクラッド学園
第一部 剣技
第4話 キリトの災難
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ユージオには苗字がない。
 以前は、幼なじみである俺が、ソードスキルなどの剣技についてアレコレ教えていた。どうやらユージオは剣士としての才能があったらしく、どんどん上達していった。今彼と剣を交えても、俺が勝つ可能性は低いと思う。
 そんなユージオの剣の腕前は、もちろん学年トップクラスだ。一緒に依頼に行ったこともある。
 こんなところで剣振り回したりしたら危ないだろ、とユージオが言ったその時、リズが声を荒らげて叫んだ。

「ユージオ! あんた……さっさとこの剣、受け取りなさいよ……っ」

 未だにリズは青薔薇の剣を抱えていた。
 ──あの剣、めちゃくちゃ重いのに。
 いくら毎日のようにハンマーを振るっている彼女とはいえ、普通の女の子に持てる重さではない。これだけ持っていられたことも、大したものだ。さすが、アスナの親友。
 ユージオは「その辺に置いといてくれればいいのに……」とボソボソ呟き、軽々と青薔薇の剣を受け取った。いったいこの華奢な風貌のどこから、こんな力が出てくるのだろうか。
 ユージオは鞘に収めた剣を腰に吊るすと、俺の方を向いて言った。

「あのさ、キリト」
「どうした?」
「今度の依頼、僕と一緒に組まない?」

 リズが微笑みながら俺の顔を覗き込む。俺は俺なりの笑顔を浮かべ、ユージオに返事をした。

「ああ、いいよ。断る理由もないし」
「討伐系なんだけど、大丈夫?」
「お前が受注できる依頼なんだろ? 師匠としては、まだ負けてやるつもりはないんだけどなぁ」

 ユージオがニッコリと笑う。

「そっか。じゃあ、キマリだね。アスナも呼ぶ?」
「ユージオが呼びたいって言うんだったら、声掛けてくるけど」
「キリト、お前誘いたいんだろ?」
「おまッ、ちょ、バッ……!」

 リズがニヤニヤしながら俺を見ていた。

「へぇ〜、ほぉ〜、ふぅ〜ん」
「リズ! 誤解しないでくれ! ──ユージオ、お前がヘンなこと言うから……!!」
「ヘンなことって? 僕はただ、アスナがすごい戦力になりそうだなぁと思って言っただけなんだけど」
「うぐ……ユージオお前、いつからそんな言い方覚えたんだよ」
「「そんなって?」」

 リズとユージオの声が重なった。
 そこで、聞き覚えのある女性の声がする。

「リズー! 遊びに来たよー……あっ、キリト君」

 タイミング悪く──あるいはよすぎか──アスナが鍛冶室に遊びに来た。

「……どうしたの? みんなでお喋り? わたしもまぜてよー。どんな話をしてたの?」
「全っ然いいわよアスナ! あのねぇ、今キリトの」
「と、特になにも話してないぞアスナ!!」

 俺はリズの言葉を遮った。

「え、でも……リズ、キリト君がどうかしたの? もしかして、またリズに
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