ナイアーラトテップとの戦い U
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!!』
闇をさまようもの は、確かにこの空間内では無敵とも言える存在である。勿論、範囲攻撃も持ってはいる。・・・が、それを使えば、自らの主であるナイアーラトテップにも被害が及ぶだろうことを恐れた。彼女が死ねば、自らも存在出来なくなるのだから。
そして思った。『いくら主の元へたどり着けても、ただの人間に彼女を殺すことなど、出来るものか』、と。そう考え、対処を止めた。
―――それが、敗因だった。
「きゃぁ!?」
不意を突かれ、多数の護堂に抱きつかれたナイアーラトテップは、何かされる前に力ずくで引き剥がそうと試みた。・・・しかし、それは叶わなかった。
「・・・あ、れ・・・?」
体に力が入らなかった。権能も、何一つ機能しなかった。
『・・・俺の、勝ちだな・・・!』
護堂が懐から取り出したもの。それは、”神墜としの魔道書”だった。この魔道書の発動条件は、対象に触れること。そうすることで、権能を簒奪することが出来る。
勿論、簒奪出来る権能の質や量には限界が存在する。これほどまでのビックネームの邪神だ。持っている権能も多岐に渡る。その全てを奪い尽くそうとしたせいで、全体に罅が入り、ボロボロと崩れ始めていた。
・・・だが、それが完全に壊れてしまう前に、
『終わり、だよ・・・。』
トスッ・・・という小さな音を立てて、彼女の心臓に金属の棒が突き刺された。
「あ・・・・・・・・・。」
それは、最初に護堂が吹き飛ばされた時に、彼の体に突き刺さった物だった。彼の血液がベットリと突いたソレを、彼は今まで隠し持っていたのだ。胸から突き出たその金属に、彼女の血と護堂の血が混ざり合った。
小さくうめき声を上げた彼女は、目を見開いて護堂を見つめる。既に、”神墜としの魔道書”は崩れ去っていた。その為、護堂の、【千の顕現】も消失し、既に彼は一人になっている。
『!!!』
自らを召喚した主が死んだことにより、 闇をさまようもの が現界を保つことが出来なくなり、消滅していく。
それに目も向けず、護堂とナイアーラトテップは見つめ合った。
「・・・まさか、負けてしまうとは。・・・思ってもいませんでした。」
「・・・気分はどうだ?人間に負けた気分は。」
クスッと笑った彼女は、護堂の頬に手を伸ばし・・・
「最高の気分です。・・・ありがとう。殺してくれて。」
彼の唇に、自らの唇を重ねた。
「・・・あぁ。コッチも、ありがとうな。」
その言葉を最後に、護堂は気を失う。それを愛おしげに見つめながら、彼女は叫んだ。
「いるんでしょ?手遅れにならないうちに、早く出てきて下さい
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