ナイアーラトテップとの戦い U
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と、この文章にある通り、先ほど彼女が手に召喚した黒き物体が、”輝くトラペゾヘドロン”と呼ばれるアーティファクトである。それを闇に閉ざす・・・つまり、箱を閉じることにより、彼女の化身の一つである 闇をさまようもの を召喚出来るのだ。
この化身には、一つの弱点がある。それは、闇にしか存在出来ない、というものだ。
だが、その弱点も今は意味を成さない。彼の権能によって、世界は闇に閉ざされているし、照明に使えそうな電化製品も、その悉くが異常な熱によって破壊されている。強力な催眠能力を持つとされ、闇を統べる者とさえ言われるこの神にとっては、既に護堂は死んだも同然の存在である。催眠能力は【千の顕現】によって効果がないとは言え、闇の中で人を殺すことなど、この神にとっては造作もないことなのだから。今やこの闇は、全てが彼の領域。闇から闇へ転移することすら、彼には簡単なことなのだ。
(連れて・・・逃げないと・・・!)
この絶望的な状況を前にしても、エリカには一人で逃げるという選択肢は欠片も存在していなかった。これは、彼女の成長と呼べるのかもしれない。
(・・・何とか、何とかしてこの神様を超えていかないと・・・!)
これで二十回目。
護堂は地に倒れた。
心臓は既に修復されており、出血も既にない。だが、先ほどまでと違い、即座に立ち上がって走るような気力は既に無かった。
(闇雲に動いても、殺されるだけだ・・・。この闇はコイツの領域。多分、瞬間移動みたいな、神様特有の不思議な力を使っているんだ・・・。・・・・・・・・・どうすればいい?)
護堂が段々薄れていく意識の中で考えている間、 まつろわぬ闇をさまようもの は微動だにしなかった。これは、彼の主であるナイアーラトテップから、『精神的に殺すのも禁止』と命令を受けているからである。立ち上がる気力もなくしたのなら、それに追い打ちを掛ける必要もない。このまま、この人間を立ち去らせることが主の目的なのだから。
(・・・何か、ないのか・・・?コイツを出し抜く、何かが・・・)
彼の意識が完全に途切れるその瞬間、彼の脳裏に小さな声のようなものが響いた気がした。
(・・・なん、だ?)
埋没しようとする意識を必死に保ち、その声の正体を探ろうとした護堂は、とうとうその声の正体を探り当てた。それは、”神墜としの魔道書”であった。
(・・・そう、か・・・。そうか・・・!まだ、この権能には可能性があるのか・・・!なら・・・)
ピクッ・・・と動いたその指に、 闇をさまようもの とナイアーラトテップは反応した。 闇をさまようもの は、護堂がまだ抵抗するつもりなら即座
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